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» 2014年07月16日 10時00分 UPDATE

ITジャーナリスト・新野氏がSAPに聞く:クラウドとインメモリープラットフォームが創る新たな価値――今、あらゆる「複雑性」をシンプル化する意味とは?

外部環境の変化に俊敏に対応できるか否かによって、企業の将来は大きく左右される。だが、「大企業病」という言葉もあるように、組織の肥大化に伴い、迅速な業務遂行は困難になりがちだ。それを防ぐコンセプトがSAPの提唱する“シンプル化”である。このシンプル化を実現するのが、インメモリープラットフォーム「SAP HANA」であり、クラウドサービス「SAP HANA Enterprise Cloud」なのだ。同社の取り組みについて、ITジャーナリストの新野淳一氏が取材した。

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何が「複雑」で、なぜSAPはそれを「シンプル化」するのか?

新野 SAPではここにきて、「シンプリフィケーション」というメッセージを強力に打ち出しています。そもそも今まで何が複雑だったのか、そして、それをシンプル化する狙いはどこにあるのでしょう。

新野淳一氏 新野淳一氏

馬場 そのことは今多くの企業がさまざまな“複雑性”をもっており、複雑であるがゆえに直面している問題に改めて目を向けることで、理解いただけるのではないでしょうか。

 企業では、組織の肥大化に併せて部門の数が増加し、組織ピラミッドの巨大化によって意思決定レイヤーが多層化を続けてきました。これらを背景に、ワークフローや業務基盤だけでなく、企業文化、製品、人事といったITにとどまらない領域まで複雑化の一途を辿っています。

 その結果、迅速な業務遂行が困難になっているという課題が顕在化しました。現に、新商品の価格ひとつを決めるにも、複数の関連部署による念密な調整作業が必要とされる。ビジネスにスピードが必須なことを考えれば、この状況は看過できません。

 では、複雑さを紐解くには、どうすればよいのか。その最適なアプローチこそシンプリフィケーションにほかならないとの考えが、SAPがシンプル化を推進する根底にあります。その具体的な手法は、基幹システムを含めたあらゆるITシステムをインメモリープラットフォーム「SAP HANA」を基盤としたクラウドに移行、集約することによる、複雑な組織や業務、ITなどの見直しです。

 我々は、これ以上のシンプルなシステムの利用形態はないと考えています。しかも、シンプル化により基幹システムを含むあらゆるITシステムに制約がなくなれば、ビジネスプロセスそのものを変革する企業としての機動力が底上げされ、新たなイノベーション創出も確実に見込まれるのです。

クラウドによりシステムの複雑性を一掃

新野 IT基盤のクラウド化により、その上に乗る組織やワークフローなどあらゆるものを見直し、それらのシンプル化を達成する。その理屈は理解できる半面で、ことERPに代表される基幹システムのクラウド化に関しては現状、企業からの理解が得難いことも事実です。

SAPジャパン バイスプレジデント Chief Innovation Officer 馬場渉氏 SAPジャパン バイスプレジデント Chief Innovation Officer 馬場渉氏

馬場 ご指摘はもっともです。実際に、基幹システムをクラウド化した先例は徐々に出てきているものの、まだ多くはありません。しかも、システムの中で基幹システムが最も複雑であることから、及び腰になるのも無理はないでしょう。ただし、裏を返せば、基幹システムをクラウド上の単一のプラットフォームに移行、集約できれば、あらゆるシステムがシンプルになり、複雑性の問題は解決します。

 SAPではシンプル化を推進すべく、自身がユーザーとなり各種基幹システムのクラウド化をいち早く推し進めてきました。既にクラウドへの移行を完了したものも多く、そこでの有効性が確認されたからこそ、シンプル化の必要性を声高に叫んでいるわけです。

新野 有効性とは、具体的には何でしょうか。

馬場 SAP HANAを基盤としたクラウドという単一プラットフォームによって、システムの垣根をなくせるということです。これまで企業は、業務効率化などを目的に必要に応じてシステムを追加拡張してきました。しかし、導入当初はイノベーションの源泉になり得たシステムも、その後は膨大な運用管理コストを必要とする“金食い虫”になっているのが現実です。その一番の原因は、サイロ化によりシステムが複雑さを増し、容易に手直しできなくなっていることにあり、このことは、ビジネスからスピードを奪う原因としても長らく指摘されてきました。

 SAP HANAを基盤としたクラウドへの移行を機に、共通のプラットフォームでシステムから複雑性を排除すれば、サイロの垣根を一気に取り払うことができます。その結果、システム改修もより容易に行えるようになるわけです。

新野 ただし、企業システムもさまざまです。例えば、トランザクション系と分析系では、利用するデータベース特性は異なり、処理性能面で不安も残ります。

馬場 その点を踏まえ、SAPは基幹システムのクラウド移行にも耐え得るプラットフォームを独自開発してきました。それが、SAP HANAと、SAP HANAを基盤にミッションクリティカルな基幹業務の移行も可能にしたクラウドサービス「SAP HANA Enterprise Cloud」です。

 インメモリーテクノロジーを採用したSAP HANAにより、あらゆる処理は劇的に高速化されます。加えて、トランザクション処理と分析処理の両方に対して最適化されているため、あらゆるシステムの集約とデータベース統合が実現できます。結果、プラットフォームの一元化によるシンプル化を実現できるというわけです。

シンプリフィケーションによってITコスト構造を抜本的に変革し、イノベーションの原資を創出 シンプリフィケーションによってITコスト構造を抜本的に変革し、イノベーションの原資を創出

SAP HANAの高速性がなぜシンプル化につながるのか

新野 SAP HANAがこれほどの高速性を獲得できた理由はどこにあるのでしょうか。

SAPジャパン ソリューション&イノベーション統括本部 リアルタイムプラットフォーム部 部長 大本修嗣氏 SAPジャパン ソリューション&イノベーション統括本部 リアルタイムプラットフォーム部 部長 大本修嗣氏

大本 秘密はデータ処理を最優先に、マルチコアCPUとDRAM活用に最適化したデザインにあります。そもそも、アプリケーションの処理能力を高めるには、アプリケーションロジックとデータの的確なハンドルが必須です。しかし、商用データベースの登場を機に、開発生産性などの理由から両者が分離してしまいました。その結果、業務ニーズに応えるたびに「アドオン」が発生し、複雑なIT基盤が出来上がります。処理が遅かったがゆえに出来上がった複雑性とも言えるでしょう。そうした状況に対しSAP HANAは、両者を改めて一体として扱い、システムを原点回帰させるための製品と言えます。

 では、それにより何を実現したのでしょうか。まず挙げられるのが、アプリケーションとデータが近づくことによる処理性能の底上げです。また、その高速性によりデータモデルのシンプルな設計が可能になり、メンテナンス性を大幅に向上したほか、シンプルなモデルでアプリケーションを動作させることから、メインフレームと同様の高信頼性も獲得しました。ディスクI/Oによる遅延を排した単一プラットフォームであるため、クラウドとの親和性も非常に高いです。

 加えて、SAP HANAにはその利用を支援する機能が豊富に実装されています。しばしばインメモリーデータベースと誤解されがちですが、データベースは機能の1つであり、統計解析ライブラリや演算・テキスト分析・ルールエンジン、アプリケーション・UIサーバ機能なども単一ソフトウェアとして内包しています。SAP HANAはプラットフォームを指すのです。

プラットフォームとしての「SAP HANA」とその主要なコンポーネント(クリックで拡大) プラットフォームとしての「SAP HANA」とその主要なコンポーネント(クリックで拡大)

新野 SAP HANA自体もシンプル化されているわけですね。これにより、開発や管理も大幅にシンプル化されそうです。

大本 基幹システムには単なる処理に加え、今では利用者のニーズを踏まえたさまざまな機能の提供も強く求められています。SAPは各種業務処理を支援する使いやすいユーザーインタフェースのアプリケーション群「SAP Fiori」を提供し、ユーザーがスムーズに業務を遂行できるよう支援を進めてきました。しかし、こと基幹システムについては、サイロ化された状況が業務要件の変化に対する新機能開発の壁となっていました。SAP HANAはこの状況を打開する“切り札”といえるのです。

基幹システムのクラウド移行も支援するSAP HANA Enterprise Cloud

新野 SAPではSAP HANA Enterprise Cloudの提供拠点として、アジア初のデータセンターを2014年4月、東京と大阪に開設しています。まずはSAP HANA Enterprise Cloudに関して詳しく教えてもらえますか。

SAPジャパン サービス事業本部 サービスソリューション本部 Business Development&Cloud HECテクニカルアーキテクト 高橋健也氏 SAPジャパン サービス事業本部 サービスソリューション本部 Business Development&Cloud HECテクニカルアーキテクト 高橋健也氏

高橋 SAP HANA Enterprise Cloudは、SAP HANAをプラットフォーム基盤にERPやCRMなどあらゆるアプリケーションを提供するプライベートクラウドサービスです。独自開発によるSAP HANA Enterprise Cloudが登場した背景には、既存のクラウドサービスや技術では、基幹システムの移行は困難と判断されたからです。

 SAP HANA Enterprise Cloudの提供にあたっては、基幹システムの稼働を前提に工夫を凝らしています。例えば、お客様のシステムをデータセンターに引き込んで環境を整備することもその1つ。これにより、社内と出来る限り近い環境での運用が可能になり、ネットワークセグメントなどクラウド由来のリスクが抜本的に低減されます。物理サーバも当然、ほかのユーザーの影響を排するためにお客様ごとに提供します。

 もちろん、企業の基幹システムへの要求はさまざまです。そこで、お客様ごとに担当者を置き、要求を基に柔軟に対応できる体制も整えています。

新野 基幹システムのクラウド化はまだ多くの企業が実践できていません。SAPではどのような支援策を用意しているのですか。

高橋 大きく4つのクラウド導入&移行サポートを用意しています。まずは、基幹システムをSAP HANA Enterprise Cloudに移行した際のインパクトを分析する「アセスメント」です。ここでは、社内システム間の通信量の変化などをレポートします。次に、レポートを基にシステムのマイグレーションを支援する「オンボーディング」です。このフェーズでは、事前テストやダウンタイムの短縮に向けた対応を支援します。そして、「本番移行時・直後の重点サポート」により確実な移行を支援し、最後に、安定運用のための通常サポートを行うわけです。

 SAPはパートナーに対して、具体的な移行手順や構成などを広く公開しており、自社の強みを踏まえ、独自のサポートサービスを提供するパートナーもいます。その利用が広がることで、今後、移行手段の多様化が進み、SAP HANAのエコシステムも確立されると確信しています。

単なるクラウド移行だけで終わらせない

新野 利用側としてはデータセンターの堅牢性や可用性も気になるところです。

高橋 その点については、グローバルの指針に則った対応を行っています。具体的には、災害対策の観点からデータセンターをペアで運用しており、国内も同様に2つのデータセンターを10Gbpsのネットワークで接続し冗長化を図っています。

 運用もインド、ハンガリー、メキシコに設置したセンターでSAP自身が行っており、万一の障害検出時には、24時間体制で稼働中のセンターが迅速に復旧作業を行います。オペレーション品質の高さは、ISO9001やISO27001認証をグローバルで取得していることからも理解いただけるはずです。

新野 データセンターを開設したことで、日本でもSAP HANA Enterprise Cloudによるシンプル化の価値を享受できる環境が整ったといえるのでしょうか。

馬場 SAP HANA Enterprise Cloudを評価する声の中には、細かな見直しなく既存システムをクラウド化できるというものも少なくありません。単にクラウド上へシステムを移行するだけでもSAP HANAにより今まで以上のパフォーマンスを発揮しますが、さらなるスピードやパフォーマンスを追求するのであれば、SAP HANA Enterprise Cloudに最適化するようにソースコードを書き換るという選択もあります。

 SAP HANA Enterprise Cloudの利用を通じ、ぜひとも基幹システムのシンプル化に取り組んでもらいたいです。それを抜きに厳しい企業競争を勝ち抜くことは、今後さらに困難になるのではないでしょうか。

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提供:SAPジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2014年9月30日

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