インタビュー
» 2014年07月17日 06時00分 UPDATE

マイクロソフトFY15戦略:既存の資産を生かした「Io"Your"T」が日本のICT活用をドライブする

[廣瀬治郎,ITmedia]

 日本マイクロソフトは2014年7月2日、都内で記者説明会を開き、2015年度(2014年7月〜2015年6月)の経営方針について発表した。2014年度の日本マイクロソフトについて、代表執行役社長の樋口泰行氏は「過去最高の売り上げを達し、着実な成長を遂げた」と評価し、Windows XPのサポート終了に伴うPCの更新やWindwowsタブレットの躍進などが、社会においても大きな影響を及ぼしたことを示唆した。

 モバイルビジネスについては、2015年度についても、予約が好調の「Surface Pro 3」のほか、OEMの端末を含めて注力していくことを示唆した。クラウドビジネスについても、Microsoft Azureの日本リージョン開設など、日本市場向けのクラウドビジネスが本格化したことで大きな分岐点に達したと述べ、ユーザー企業の競争力強化に貢献すべく、さらに加速していきたいとしている。

 今回は、日本マイクロソフト 執行役 常務 エンタープライズビジネス担当の小原琢哉氏に、2014年の振り返りと2015年の戦略について、さらに詳しい話を聞いた。

Windowsタブレットが支持される3つの理由

──2014年度にはWindowsタブレットが大きく伸びた

小原氏 日本マイクロソフト 執行役 常務 エンタープライズビジネス担当 小原琢哉氏

小原氏 私たちが考えていた「デバイス&サービスカンパニー」に変革するという目標が、具体的に前進した年だった。

 昨年より以前は、タブレットと言えば「iPad」か「Android」の名前が上がっていたが、Windowsタブレットを採用する企業が増えてきた。今回の発表では、大塚製薬がデルのWindows 8.1 Enterpriseタブレット「Dell Venue 11 Pro」を1900台導入した事例を紹介している。

 Windowsタブレットが信頼される要因は3つあると考えている。

 まず1つ目は、ユーザーインタフェースが同じということ。エンドユーザーにとって、社内で使っているパソコンと、外出先でのタブレットとの使い勝手が同じというメリットは大きい。2つ目は、業務アプリケーションの開発が容易であること。すでにWindowsパソコン向けに開発されているものを移植するのは、それほど困難なことではない。3つ目は、やはりセキュリティだ。大塚製薬の事例においても、「BitLocker」を活用してディスクを暗号化し、情報漏洩に備えている。

真の“ハイブリッドクラウド”でさらに支持されるクラウド基盤へ

──2014年のクラウドビジネスについては

小原氏 モバイルデバイスと連動する形で、大きな波を迎えた時期だった。キーとなるのは「SaaS」と「IaaS/PaaS」という2つの観点だ。

 SaaSとは「Office 365」の普及である。現在では、日経225企業の約6割が導入している。全社展開でなくとも、一部の部署や子会社から始めてみようという流れで、かなりの企業に浸透しつつある。

 IaaS/PaaSの「Microsoft Azure」も、Office 365のように「まず使ってみようか」という観点で始められる利点が好評を博した。サティア・ナデラCEOと(米マイクロソフト コーポレートバイスプレジデントの)沼本健がリードして、クラウドファーストで開発された“クラウドOS”であるWindows Serverは、その名の通りクラウドとの親和性が非常に高い。

 PaaSとしては後発ではあるが、当社とWindowsへの信頼感・安心感が高く、また日本リージョンが開設されたこともあって、Microsoft Azureを検討・導入するユーザーが増えている。

 これら2つに共通するのは、オンプレミスとクラウドがシームレスにつながる「ハイブリッドクラウド」サービスであることだ。シングルIDで違和感なく、セキュリティも担保された状態で使え、管理性にも優れる点は、当社のサービスの強みである。

ナデラ新CEOの決断は驚きの連続

──ナデラCEOのクラウド戦略について

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小原氏 いちばん驚いたのは、Salesforce.comとの提携だ。バルマーCEO時代のマイクロソフトでは、できなかったことではないだろうか。

 当社は、クラウドのすべてを包括する製品群を保有している。1つ1つの製品で勝負するのではなく、数年先を見据えたエンタープライズアーキテクチャのグランドデザインをユーザーに提示して、アプリケーションの選択肢を提供することが重要だと考えている。

 従来の競争相手をはじめから拒絶するのではなく、さまざまなものを取り込めるプラットフォームとして提供した上で、ユーザーに選択していただこうというのが、私たちの戦略だ。

 もちろんMicrosoft Azure、クラウドサービスだけで勝負するのでは安値競争の消耗戦になってしまう。上位のソフトウェアやソリューションを含めて提供することで、総合的なビジネスモデルが形成できる。

2015年、マイクロソフトのキーワードは「IoYT」

──2015年のキーポイントは

小原氏 やはり「IoT(モノのインターネット)」だろう。マイクロソフトでは「IoYT(Internet of Your Things)」と呼び、既存の資産を生かしつつ始めるIoTというものを提唱している。

 例えば、英国のロンドン地下鉄では、エスカレータやその他の施設にはすでにセンサーが搭載されており、それをWindows Azure上に集めてビッグデータとして分析、モバイルデバイスと組み合わせることで、障害が発生する前にメンテナンスを実施するなど、プロアクティブなサービスを提供できるようになった。

 日本は(欧米に比べて)ICTの活用は遅れており、生産性も高くない。IoTは、これを変える大きなトリガーになると期待している。ロンドン地下鉄と同様に、すでにさまざまな機器にセンサーが搭載されているが、ネットワークにつながっていない。それを、当社のクラウドサービスで支援できればと思う。

 当社は、モビリティ、ソーシャル、クラウド、ビッグデータというITのメガトレンドの全てに対してコミットでき、これらをつなぐことで大きな付加価値を提供できる強みがある。これらを総合すると、IoTという考え方が出てくるのもポイントだ。

 クラウドにはさまざまなメリットがあるが、「イノベーションを生む」ということも利点の1つだ。これまで考えられなかった新しいビジネスモデルが可能となる。例えば、全国のタクシーを配車できるスマホアプリ(スマホdeタッくん)は、Windows Azure、クラウドならではの企業間連携サービスと言えるだろう。

──日本企業に向けて

小原氏 エンタープライズ全体のアーキテクチャをどのように設計していくか、汎用機のころにはできていたことが、この10年ほど実現できていないようだ。その理由は、オープン化に対する誤解によって、色々なものをただ組み合わせることが流行し、コストや負荷の増大につながった。

 欧米に比べると、日本はこの作り直しがやや遅れている。レガシーな仕組みから新しい世代に移るために何をすべきか。マイクロソフトはそのための技術のすべてを保有し、知識とノウハウを蓄積している。ぜひ3年後のITについて、話し合いをさせていただきたい。

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