企業のクラウド理解度が低下、その理由は?

IDC Japanが発表したクラウド利用調査で、企業の導入率は今回も上昇したが、理解度が低下したという。

» 2014年07月24日 13時07分 公開
[ITmedia]

 IDC Japanは7月24日、クラウドユーザー動向に関する最新の調査結果を発表した。企業のクラウドの利用/導入率は堅調な増加を続けている。

 調査結果では「SaaS」「パブリッククラウド」「プライベートクラウド」「業界特化型クラウド」の4つの配備モデル全てで利用率が上昇。パブリッククラウドの利用率は2013年の21.1%から2014年は25.1%に増加した。SaaSの利用率は29.6%だった。

 しかし、クラウドの理解度は低下に転じた。例えば、「よく理解している」「概ね理解している」の合計値は、SaaSでは2013年38.8%から35.4%に、プライベートクラウドでは39.6%から36.0%にそれぞれ低下している。

 これについてIDCは、「従来、ASPや仮想化を『クラウド』と認識してきた企業がクラウドの本質を考えるようになり、理解しているとの回答率が下がった」と考察する。また、クラウドに対するユーザーの印象では「安価」「迅速」といった利点に対する回答率がわずかに減少し、「クラウドに対する正しい理解が進み、期待過剰傾向にあったクラウドの印象の是正された」と分析している。

 ユーザーがクラウドに期待するのは、コスト削減などITの効率化が主流。しかしIDCは、クラウドが事業や社会活動を変革するプラットフォームになると指摘し、ITの効率化だけに焦点を合わせるとクラウドは国内IT市場を縮小に導くと警鐘を鳴らす。

 同社ITサービス リサーチマネージャーの松本聡氏は、「クラウドは普及期を迎え、全てのベンダーはクラウドに注力する必要がある。ベンダーにとって重要な課題は、『ITの効率化』と『ITを使ったイノベーション』という異なる命題に対応し、効果的な事業戦略の立案とその迅速な遂行である」とコメントしている。

パブリッククラウドの利用検討状況、2011年〜2014年(出典:IDC Japan)

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