企業が社内ソーシャルツールの導入に失敗する理由を考える前に、それらのツールを提供しているIT企業のプレゼンテーションを思い出してみてください。
顧客がSNS上に投稿した要望をマーケティングスタッフが見つけ、担当営業やサポートのメンバーに共有する。顧客の要望解決に向け、社内のメンバーが部門を超えて協力し合い、最高の顧客サービスを提供する……。これを見て「なんて素晴らしい取り組みだ。自社でもぜひ試したい!」と感じたことのある方も多いでしょう。
しかし、単に社内ソーシャルツールを導入するだけで、顧客サービスのレベルは本当に向上するのでしょうか。
実際に顧客サービスを向上させるためには、どのような情報を、どの部門間で共有すべきかを明確化することが重要です。実は、この部分を明確に定義せず、導入後の効果をイメージできていないままソーシャルツールを導入してしまうパターンが多く見られるのです。
また、先ほど紹介したソーシャルツールベンダーの“魅力的なプレゼンテーション”では、「個人の努力」という重要な項目が抜け落ちています。
多くの企業ではすでに、業務に必要な情報をグループウェアやメールでやり取りしています。その情報量だけでも膨大化しているところに加え、新たにソーシャルツールを「業務」として定期的に確認させるのは、現場スタッフにとって非常にハードルの高いものです。
つまり、目的と効果を明確にせず、スタッフに浸透させる工夫も凝らさず、ツールだけを導入してしまうのが、一般的な社内ソーシャルの失敗例です。その結果、ソーシャルツールは意図した通りに活用されず、導入時に掲げていた“理想”とかけ離れた利用実態になってしまうのです。
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