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» 2014年08月25日 08時30分 UPDATE

もはや直販中心ではない:なぜデルはパートナービジネス型へと大変革を遂げるのか?

直販スタイルのいわゆる「デルモデル」でビジネス成長を遂げてきたデルがそのビジネスモデルの大変革に踏み切った。

[伏見学,ITmedia]

 顧客への直接販売というスタイルで事業を伸ばしてきたDELLが、創業以来培ってきたこのビジネスモデルを変貌させようとしている。日本法人のデルは8月4日にパートナー事業本部を新設し、ディストリビューターやシステムインテグレーター(SIer)などパートナー企業経由の間接販売に本腰を入れる。

 先行して約1カ月前からディストリビューターに対しては在庫モデルでのビジネスを展開。これは在庫を抱えないことを強みとする「デルモデル」からの大きな方向転換と言えるだろう。

既存顧客の9割をパートナー経由で支援

 デルでは2007年ごろからパートナービジネスを強化。「デルグローバルコマーシャルチャネル(GCC)」と呼ばれるパートナー支援のグローバル組織を中心に、デルの製品・サービスの間接販売を推し進めることで、2013年には法人向け売り上げのうち、3割はパートナー経由となった。この割合をさらに伸ばし、直販とパートナー経由の売り上げ比率を半々にしていくつもりだ。

 新たに設立されたパートナー事業本部は、GCCを母体に人員を倍増した。提案の質、量を重視し、とりわけ外勤営業を増やしている。また、これまでGCCのレポートラインがグローバルだったのに対し、パートナー事業本部はデル・郡信一郎社長の管轄下に置かれているため、日本の顧客に根付いた支援、戦略をきちんと考えることができる体制が作られたという。

デル 執行役員 パートナー事業本部長 兼 西日本営業統括本部長の渡邊義成氏 デル 執行役員 パートナー事業本部長 兼 西日本営業統括本部長の渡邊義成氏

 パートナー事業本部を立ち上げるにあたって、数万社に上る既存顧客を区分けし、直販営業が担当する顧客を全体の1割に絞り込んだ。つまり、9割の顧客はパートナー経由による支援となるのだ。区分けの基準は、企業規模や売り上げの大きさなどではなく、パートナーと協業することでメリットが生まれる顧客かどうかをデルの戦略に基づいて判断した。

 「あくまでもエンドユーザーである顧客の満足度を高めることが主目的。マーケティングプレイのように、特定の指標に合わせて自動的に振り分けるのではなく、しっかりと吟味した」と、デル 執行役員 パートナー事業本部長 兼 西日本営業統括本部長の渡邊義成氏は説明する。

 ただし、顧客によってはパートナー経由よりも直販を好む場合もあるのではないだろうか。この点についてはフレキシブルに対応するというが、従来の直販だけだとどうしても提案の幅などに限界があるので、多くの顧客にとってはパートナーとの協業がメリットを感じるはずとしている。

 「顧客が望んでいないのに直販から無理にパートナー経由に変えることはない。ただし、首都圏や大阪などのエリアは顧客数が多いので、これまで幅広く深いソリューションを提供しようとしても直販営業の人数が十分ではなかった。パートナーと組むことで顧客に対してもっと深い提案が可能になる。また、顧客にとっても、例えばデルと他社の製品、サービスを組み合わせた包括的なソリューションを享受できるようになる」(渡邊氏)

「チャネル」とは言わない

 パートナー事業本部の具体的な数値目標について、初年度でパートナー経由での売り上げを2倍にする。そのために渡邊氏が重視しているのが、ともにWin-Winとなるようなパートナーとの関係性である。いくらデルが売り上げを伸ばしても、パートナーにとって利益にならなければ無意味だと言い切る。

 「当然、パートナーはデルの競合に当たる製品やサービスも扱っている。仮にデル自身のビジネスが伸びたとしても、パートナーの利益が他社の製品・サービスを販売した場合と比べてもあまり変わらない、あるいは減少してしまえば、パートナーは離れていってしまうだろう。パートナーの利益貢献にもコミットしていく必要がある」(渡邊氏)

 それに向けた意識改革の1つとして、基本的にはデル社内で「チャネル」という言葉を使わないようにした。チャネルは販売経路という意味合いがあるため、デルの営業成績が伸びさえすれば良いという認識を持ってしまうからだという。

 「エンドユーザーに製品やサービスを販売していただくのに、チャネルという位置付けをしていては、日本で絶対にパートナービジネスはうまくいかない。真の意味でパートナーシップを築き、中長期的にデルを信頼してもらい、デルとビジネスすれば売り上げが伸びるということを実際に感じてもらうことが重要なのだ」と渡邊氏は力を込めた。

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