「ウチの社内SNSは活発だ」――そんな企業がコミュニケーション不全に陥った“2つの原因”連載・企業内SNSの“理想と現実”(2/3 ページ)

» 2014年09月17日 08時00分 公開
[伊佐政隆ITmedia]

A社とB社に共通する“失敗原因”は

 役員が積極的に使っていたにもかかわらず社内ソーシャルが廃れてしまったA社、現場と本部の垣根を越えて情報共有していたのに導入プロジェクトが頓挫してしまったB社……これらの失敗はなぜ起きたのでしょうか。

 まず1つ目の原因としては、「目的(ゴール)が明確に設定されていなかったこと」が挙げられます。

 SNS活用に限ったことではありませんが、どのような活動でも、ゴールを明確にしない限り「何となくうまくいかない」状態から抜け出すのは難しいものです。これらの企業ではトップダウンでの意思決定からトントン拍子で話が進んでしまったこともあり、自社が社内SNSに期待することが明文化されていませんでした

 さらに、A社のように「部活動報告の場」となってからは、いよいよ仕事とは関係のない場所としてユーザーに認識されてしまいます。その結果、業務に関する情報は投稿されなくなり、見にくるユーザーも次第に減り、当初の導入目的だった「部門間をまたぐ情報連携」は実現されないまま、廃れていってしまったのです。

 B社の例も同じです。「フラットな情報交換」というテーマこそありましたが、そこから期待する目的(ゴール)について話し合い、現場メンバーと共有するまでには至っていませんでした。したがって、社長の発言によって「自分にとって不都合な場」として社員に認識されてからは、利用者が減っていく状況になってしまいました。

 「トップの理解がある」という好条件が整っていながらの失敗。「やはり社内SNS導入は難しい」と思われてしまいそうですが、これらの失敗事例から、社内SNSの成功には明確な目的が欠かせないことが分かります。そして、その目的はできるだけ具体的にイメージできる状態とし、関係者の間で共有しておく必要があるのです。

 社内ソーシャルの導入目的は、以下のような枠組みで細分化すれば、より具体的になります。

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 ここまで目的が明確化されていれば、「誰が」「どの部門から」「何に関する」情報を共有すればいいかがはっきりと見えてきます。

 大規模な導入にチャレンジしたくなる気持ちは分かりますが、まずは部門を限定してでも、具体化できた目的だけに絞って取り組むことをお勧めします。もし経営層から社内ソーシャル導入に関して相談を受けた際は、ぜひこのシートを活用してみてください。

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