しかも、昨年末に設立されたOpenPOWER Foundationを通じてアーキテクチャーを公開し、メンバー企業による協調型の技術開発を促進しようとしている。この4月には創設メンバーの1社であるGoogleがPOWER8を搭載したマザーボードを公開して話題となったのはご存じのとおりだ。
やはり創設メンバーの1社であるNVIDIAもEnterpriseカンファレンスに先立って先週、IBMとともに協調型開発によるイノベーションの成果を発表している。POWER8プロセッサとNVIDIAのGPUアクセラレーターを密接に組み合わせることで、計算中心のアプリケーションの処理速度を大幅に高めた「IBM Power S824L」サーバだ。金融機関などで用いられる高度なリスク分析や、石油埋蔵量の調査、迅速な病気治療方法の特定、などにその威力を発揮するという。今後、IBM Power Systemsは、NVIDIA NVLinkテクノロジーを採用する予定で、NVIDIAのGPUがPOWERプロセッサのメモリにすべての帯域幅を使ってアクセスできるようになる。2016年にはNVLink対応が進み、より幅広いアプリケーションの性能が飛躍的に高まると期待される。
Power Systemsを担当するダグ・バローグGMは、「IBM Power Systemsは、より多くの仮想マシンを集約できるだけでなく、データという天然資源から新たな洞察を探し当てるためのイノベーションが、オープンなコミュニティーの力を結集して始まっている。OpenPOWER Foundationのメンバーも60社を超えた」と話す。
気になるアプリケーションの移植性もPOWER8がリトルエンディアンもサポートしたため、対応済みのUbuntuやSUSEではC/C++のアプリケーションならリコンパイルするだけで95%はそのまま利用できるという。
もちろん、従来「Big Iron」と呼ばれた大規模なスケールアップ型UNIXサーバの後継、「Power Enterprise Systems」も先週発表されている。新しいE870とE880では、最大で192コア、1500スレッド以上の計算能力と16テラバイトのメモリまでシームレスに拡張できるという。
スウェーデン発祥で世界最大の家具メーカーであるIKEAもIBM Power Systemsの拡張性や柔軟性を評価し、社内ITインフラの標準化を進めている。
ステージに招き上げられたITプラットフォーム担当のステファン・アカボーグ氏は、「Power Systemsには、クリスマス商戦のピーク時にも未使用のプロセッサとメモリを動的に追加できるCapacity on Demand機能や複数のシステム間でリソースをプール化できるPower System Poolsの機能があり、まさにうってつけだ」と話す。今後は、OpenStackベースのクラウド管理ツールを導入し、より柔軟な運用管理を実現していきたいという。
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