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» 2014年10月16日 07時00分 UPDATE

ITpro EXPO 2014 レポート:全社最適はIT部門にしかできない――ANAとLIXILのCIOが語る未来の姿 (1/2)

企業のIT部門が担うべき役割について様々な提言がある中、全日空の幸重孝典CIOとLIXILの小和瀬浩之CIOが自社での取り組みを踏まえながら、IT部門の今後の役割について語った。

[國谷武史,ITmedia]

 企業でのIT利活用が進むにつれてIT部門が果たすべき役割が改めて問われている――日経BP社主催の「ITpro EXPO 2014」が10月15日から3日間の日程で開催されている。「改革を牽引するCIO2人が徹底討論〜2020年、日本成長へのシナリオ」と題した15日のセッションでは全日本空輸(ANA) 上席執行役員 業務プロセス改革室長の幸重孝典氏とLIXIL 執行役員CIO兼情報システム本部長の小和瀬浩之氏が登壇。日本企業のITが果たすべき役割について語った。モデレーターは日経コンピュータ編集長の吉田琢也氏。

cios01.JPG ANAの幸重孝典氏(左)とLIXILの小和瀬浩之氏

標準化・共通化に乗り遅れるな

 セッションでは(1)日本企業のグローバル化における阻害要因、(2)日本の強みを生かしたIT利活用、(3)CIOやIT部門とITベンダーの役割――について、両氏からは自社での取り組みや自身の経験を踏まえた意見が出された。

 最初のテーマでは2010年からLIXILグループ全体へのSAP ERPの導入を進めている小和瀬氏が、導入プロセスが日本と欧米では大きく異なると指摘した。欧米ではグローバル経営の視点から業務の標準化、共通化を図り、そのためのツールとしてERPを導入する。一方、日本では拠点ごとのベストプラクティスを横展開する仕組みが無い。

 「欧米では標準化、共通化によるコストダウンを図り、売上高に占めるIT予算の割合を年々縮小している。バラバラに開発、運用しているのではIT活用の妨げになる。当社でも推進して良いこと尽くめだと感じているが、なぜ国内企業はしないのだろうか」(小和瀬氏)

 幸重氏によると、ANAでは航空業界の競争環境の変化を受けて基幹システムの刷新を進めている。システムは国内線業務と国際線業務に分かれているが、国内線業務向けのシステムは2013年にオープン系システムへ全面移行した。国際線業務向けのシステムは2015年に完全クラウド化し、ドイツのデータセンターからITサービスを提供する計画だ。

 「従来は日本と世界をつなぐのがANAの役割だったが、現在では国際線利用客の約3割が海外の方になり、世界をつなぐサービスが求められる。世界の航空会社の3分の2が基幹システムをクラウド化しており、世界共通のサービスを提供できるシステムが必要とされた」(幸重氏)

 2社ともグローバル市場でのビジネスで勝ち抜く上で、自社のIT環境を世界水準の仕組みに変革させていく必要があったという。両氏とも、日本企業がグローバル化するにはITの標準化、共通化が避けて通れないとの見方で一致した。

日本流が差別化になる

 しかし、IT環境を海外企業と同じように標準化・共通化するだけでは差別化できず、競争を勝ち抜くことは難しい。競争優位性を確保するためには、日本流のアプローチも必要だと両氏は指摘する。

 「平時はあまり航空会社間の違いを感じないかもしれないが、先日の台風のような突発的な事象で欠航などが生じた場合、利用者一人ひとりに合わせたきめ細かい情報を提供できれば、利用客から評価をいただけるようになる」(幸重氏)

 ANAでは搭乗者に合わせたメールによる情報配信システムを構築。顧客データベースを活用して一人ひとりに合わせたサービスを社員が提供できるよう、空港や機内ではタブレット端末でリアルタイムに情報を参照できる環境も構築している

 幸重氏によれば、ANAでは人によるきめ細やかなサービスの提供が競争優位性につながると考えており、ITはこれをサポートするという位置付けだ。国際線では様々な航空会社の運航便を乗り継いで移動する利用客に不便が生じないようシステム面では世界共通の仕組みに重きを置いている。

 一方、小和瀬氏はコア業務とノンコア業務を明確に切り分けることが、競争優位性につながると語る。同社の場合、例えば在庫管理システムではパッケージをあまりカスタマイズすることなく利用しているが、これは拠点や品目などの情報をできるだけ効率的に管理するためであり、この部分はノンコアにあたるという。

 しかし、世界中から入力される膨大な情報をリアルタイムに分析し、出荷品のトレンドを予測して過剰な在庫を抱えることなく、欠品も増やすことなく、最適な納入を常に行える環境作りを進めている。この情報の分析と在庫管理の最適化における部分がコア業務であり、この点では独自のノウハウが同社の強みになっているという。

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