「私は趣味で、カートに乗っています。週末などには、都内にあるカートコースで練習やレースを楽しみます。カートは、遊園地にあるゴーカートに似ていますが、排気量200ccのガソリンエンジンを搭載し、最高速度は時速50kmに達します。シートがとても地面に近いため、体感速度は倍から3倍にも感じられ、非常に迫力がありますよ」(古賀氏)
多くのプロレーサーと同様に、古賀氏もできるだけ速くコースを周回したいと考えている。そのためには、マシンのコース取りやブレーキのタイミング、アクセスの調整など、さまざまな工夫が必要だ。そこで同氏は、プロレーシングチームと同じように、自分の走行データを記録したいと考えた。
そこで古賀氏が考えたのは、走行の様子を動画とGPSデータで記録するという手法だ。動画は、スマートフォンが軽くて便利で、データを共有しやすい。カートファンの間でも使われているアームを利用して、スマホをハンドル周りに装着した。また、GPSデータは精度の高い専門のGPSロガーを使うことにした。
スマホで撮影した動画(3GP形式)とGPSログ(GPX形式、dp3形式)は、パソコン上で加工して合成した。まず、走行動画上に可視化したGPSログを合成したものを作成する。さらに分析ツールを活用して、速度の変化やコース取りをグラフ化し、練習などに役立てる。
「さらに、スマホのGPS機能とGoogleの『My Track』サービスを活用して、Google Maps/Google Earth上にプロットすることも試しました。最近のスマホのGPS機能はGPSロガーにも引けをとらない精度なので、航空写真に写ったコース上での動きがよく分かります。ただ、私の通っているコースは毎年レイアウトを変えるので、Google Mapsのデータでは古く、きちんと反映されていないのが唯一の欠点でしょうか」(古賀氏)
GPS | GPSロガーは使用せず、スマホの「Google MyTracks」でGPSデータを取得 |
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撮影方法 | ヘルメットにスマホを固定して撮影 |
スマホ固定器具 | 「JOBY GorillaPod Action Tripod」を使用 |
GPS | GPSロガーは使用せず、スマホの「Google MyTracks」でGPSデータを取得 |
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撮影方法 | ヘルメットにスマホを固定して撮影 |
スマホ固定器具 | 「JOBY GorillaPod Action Tripod」を使用 |
GPS | 身に付けたGPSロガーでGPSデータを取得 |
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撮影方法 | ヘルメットにスマホを固定して撮影 |
スマホ固定器具 | 「JOBY GorillaPod Action Tripod」を使用 |
GPS | 身に付けたGPSロガーでGPSデータを取得 |
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撮影方法 | カートにスマホを固定して撮影。そのため振動が大きい |
スマホ固定器具 | 「JOBY Action Clamp Locking Arm」を改造したものを使用 |
動画とGPSログは、ツールを用いれば半自動的に同期を取ることができる。画像の合成については、人的な作業が必要だが、GUIで簡単に実行できるという。そうして可視化された古賀氏の走行データは、YouTubeにアップロードして楽しんでいるという。
「個人でも、このようにデータを取得して、分析できる時代がやってきています。近い将来、個人向けの分析サービスが登場するかもしれません。私が期待しているのは、そのようなデータ解析を楽しめる世界です。ビッグデータは、人々の喜びのために使って欲しいのです」(古賀氏)
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