Windows Embeddedの運用方法「Windows Embedded」を企業で使い倒す(2/2 ページ)

» 2014年10月31日 08時00分 公開
[横田幸郎,日本マイクロソフト]
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アプリケーションの配布、アップデート

 ユーザーに展開したクライアントに新しいアプリケーションをインストールする、もしくは新しいバージョンにアップデートを行う、また特定用途向けの業務端末として構成したクライアントで使用するアプリケーションをバージョンアップするなど、管理者からアプリケーションの配布が必要となることもあるだろう。

 このようなアプリケーションの配布、アップデートについても通常のWindows 8.1と同様の方法で対応できる。

 当然スクリプトを駆使して各クライアントにソフトウェアを展開することも可能だが、SCCMのソフトウェア配布機能を利用することで、柔軟かつ確実にソフトウェアを配布できる。SCCMのソフトウェア配布機能では配布の対象の柔軟な設定、インストール条件の指定、前提となるソフトウェアの事前インストールなどの機能と、ソフトウェア配布状況のレポートを提供し、IT管理者のソフトウェア配布に掛かる負担を軽減できる。

リモートからのヘルプデスク支援

 運用が始まり、実際にユーザーがクライアントの使用を開始すると、トラブルが発生しヘルプデスクでの支援が必要になる場面も想定する必要がある。

 トラブルにより業務に支障をきたす場合も多く、迅速な原因究明と対処が求められるが、メールや電話での対応では問題の解決に時間がかかることもしばしばだ。

 クライアントがネットワークに接続している環境であれば、リモートからヘルプデスク担当者がクライアントに接続しトラブル対応を行うことが解決への近道となる場合が多い。ヘルプデスク担当者からリモートデスクトップ接続を使用してクライアントに接続することも可能だが、リモートデスクトップ接続ではクライアントを使用しているクライアントの画面はロック状態になるため、画面を共有しながらトラブルの原因を調査することはできず、特定のユーザー操作で起こるトラブルの説明が煩雑になる。

 SCCMはユーザーとヘルプデスク担当者が画面を共有しながら操作が可能なリモートコントロール機能を提供しており、ユーザー操作に起因するトラブルへの対応もより容易に行うことができる。

SCCMのリモートコントロール機能によって、ユーザーとヘルプデスク担当者が画面を共有しながらトラブル等へ対応できる。Windowsストアアプリ、デスクトップアプリの両方に対応可能。

ライセンス認証

 マイクロソフトの「ボリュームライセンス(VL)」で提供されているWindows OSを使用している企業では、ライセンス認証のために「キー管理サービス(KMS)」や「マルチライセンス認証キー(MAK)」などを使用し、ボリュームアクティベーションによるライセンス認証をおこなっている。

 Windows Embedded 8.1もVLで提供されるOSであり、KMS、MAK、もしくはActive Directoryによる認証が必要となる。ここでも注意が必要となるのは書き込みフィルターを有効にする場合で、書き込みフィルターが有効な状態でライセンス認証を行うと、再起動後に再度認証が必要となるため、ライセンス認証は書き込みフィルターを無効にした状態で行う必要がある。

 なお、KMSでの認証は定期的に認証処理が行われるため、書き込みフィルターを使用する場合には、MAK認証を使用することが推奨される。MAK認証では、インターネットに接続した状態での認証、電話による認証、「Volume Activation Management Tool(VAMT)」を使用したプロキシ認証の3つの方法での認証が可能である。

クライアント展開

 企業内で多数のクライアントを展開する際には、標準となるマスターイメージを作成し、キッティング作業により各PCにマスターイメージの展開や、各種設定を施した上で、実際の使用者に配布するという流れが一般的だろう。

 Windows Embedded 8.1でも、Windows標準のイメージングと展開のテクノロジを利用可能であり、OS展開に使用する標準のツールであるWindows ADKを使用し、マスターイメージの取得や各PCへの展開ができる。

 また、ロックダウン機能の有効化も応答ファイルを使用することで行えるため、小規模の展開ではWindows ADKで対応できる。前述のSCCMはOS展開の機能も持ち、キッティングで必要となる作業の大部分を自動化することで効率的なキッティングが可能だ。

まとめ

 Windows Embedded 8.1はWindows 8.1をベースとしたOSであるため、企業に導入する際にもこれまでのクライアント管理のインフラとノウハウをそのまま活用できる。

 Windows Embedded 8.1はロックダウン機能を提供しているが、その中でも特に書き込みフィルターを有効にする場合にはクライアント管理として注意すべき点があることを解説した。

 Windows Embedded 8.1の優位性を理解していただき、ビジネスニーズにあったクライアントOS環境として活用いただければ幸いである。

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