買い物直後にクーポン配信、JCBがクレジットカードで「O2Oビジネス」を始めたワケクレカ業界に訪れる変化(3/3 ページ)

» 2014年11月06日 08時30分 公開
[池田憲弘,ITmedia]
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1年半で開発、巨大な決済システムを付加価値に

 同社がイマレコ!の開発を始めたのは2013年6月。2012年にO2Oビジネスに参入すると会社の方針が決まってから1年後のことだった。サービス開始が2014年10月なので、実質的な開発期間は約1年半となる。

 クレジットカードビジネスは、多数の会員や加盟店を組織化するネットワーク産業であるとともに、巨大な決済システムを構築するインフラ産業でもある。イマレコ!については、システムの中核となる信用照会システムに手を入れること自体が、開発における大きな決断だったという。

 「信用照会システムは本来、クレジットカードが悪用されたときに利用を止めるためのシステム。このシステムを利用して、付加価値を生み出すのは手間がかかることもあり、他社で実現しているところはないでしょう」と川口氏。とはいえ、開発にはスピードも求められる。グズグズしているとビジネスやマーケットそのものが変わってしまう可能性があるためだ。

 開発を担当したのは日立製作所。これまで同社がさまざまなシステムの開発に携わっていたこともあって、開発を急ピッチで進められたという。「いかに既存のシステムを生かしながら、リアルタイム性の高いシステムを構築するかが難点でした。サービス開発の面では、エンドユーザー側の社員と開発側の社員の間に立って検討を進めたので日々、サービス要件定義の連続だったような気がします」(日立製作所 社会イノベーション事業開発室 織田稔之氏)

 複雑なマッチングをリアルタイムで処理するため、システム開発にはビッグデータ戦略的活用支援ソリューション「vRAMcloud」を活用。また、日々変わっていくクーポンや加盟店のデータに対応できるよう、OSやハードに依存しないHTML5のコンテンツを展開できるアプリ基盤を用意した。顧客をターゲティングするための予測モデルも、日立の支援を受けてブラッシュアップしていくという。

photo イマレコ!システムの全容
photo イマレコ!のマッチングシステム

クレジットカード決済ニーズが急増する東京オリンピックに向けて

 イマレコ!のほかにも、ジェーシービーはクレジットカードのNFC対応、バーコードによる支払いサービス、ポイントサービスの端末共通化といったサービスの開発を進めている。今後、2020年に東京でオリンピックが開催されるにあたって、クレジットカード決済のニーズは高まるだろう、と川口氏は話す。

 「オリンピックに合わせて、おそらく多数の外国人が日本を訪れるでしょう。地方を中心に決済手段が現金のみという店もまだまだあります。高級料亭やラーメン屋などもそうでしょう。しかし、それでは渡航者の消費機会を奪ってしまうことになる。ジェーシービーは新たなサービスを展開し続けることで、このビジネスチャンスを生かせるようにしたいですね」(川口氏)

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