社会を支え、つなげるICT技術に自信――NEC遠藤社長C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2014

NECの「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO」が開幕。基調講演は遠藤信博社長は、世界人口の増大と日本の人口減少という対極的な変化の中で社会インフラを支えるICT技術の展開により注力していくと語った。

» 2014年11月20日 13時07分 公開
[ITmedia]

 「Orchestrating a brighter world(世界の想いを未来につなげる)」――NECの年次カンファレンス「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2014」が11月20日、都内で開幕した。近年、ICTを活用した社会ソリューションによる貢献を表明し続けてきた遠藤信博社長は、初日の基調講演の中でその取り組みをさらに進めていくための新たなブランドを発信した。

NECの遠藤信博社長

 講演の冒頭、遠藤氏は2050年に世界の都市人口が現在の1.8倍となる68億人に増大する一方、日本の人口は今の約3分の2となる8000万人に減少するという予測に触れた。世界ではエネルギーや食糧などに対する需要がますます拡大し、日本では現在の社会基盤を少ない人口でどう支えていくかが焦点になる。遠藤氏は、この対極的な課題の双方に応えられる効率的なインフラの実現が必要だと語った。

 同社は、社会ソリューションにおいて「安全」「安心」「効率」「公平」の4つの価値を提供していくことを目指しているという。この4つの価値を実現するために必要なICTのキーワードとして遠藤氏が挙げたのは、「リアルタイム」「ダイナミック」「リモート」の3点。大量のデータをリアルタイムに収集・蓄積・分析することを通じて予測を可能に、その予測をダイナミックに対処行動につなげる。この流れが場所を問わず可能になることも不可欠である。

 この3つのキーワードを具体化するものが既に社会で登場しつつある。遠藤氏は自動運転技術を例に、「無数のセンサでとらえたデータを全てマシンの中で処理する必要はない。サーバとリアルタイムに連動しながら、交通状況や天候といった様々な情報も加味して、安心で効率的な運転が可能になりつつある」と話す。3つのキーワードにつながる同社の強みがセンシング、コンピューティング、ネットワーキングの各領域における先端技術であるとし、「大量のデータが集まることによる価値」と「大量のデータを活用することによる価値」の2つを創造していくと述べた。

 前者の価値とは、1つのデータあるいは情報は物事の断片をとらえたものに過ぎず、大量に集まることによって初めて全体の姿がみえるようになる。後者の価値とは、従来は部分的なデータをアルゴリズムで処理することから、大量のデータのほぼ全てをリアルタイム処理することで予測の精度を飛躍的に高めることを指すという。

 遠藤氏は、2つの価値創造を可能にする同社の技術として、世界最高水準の画像認識やインバリアント分析、異種混合学習(異なるビッグデータから相関関係を自動的に明るみにする技術)、SDNなどを挙げた。

 こうした技術は、同社のユーザー企業にも取り入れられ始めている。例えば、画像認識は大阪のユニバーサルスタジオジャパンの来場者の確認に活用され、SDNはJR東京駅構内における柔軟性のあるネットワーク運用を実現した。インバリアント分析は中国電力が大量のセンシングデータから発電所システムの故障の予兆を見つけ出すことに利用され、異種混在学習技術は同社が大林組と共同で取り組む効率的なビルのエネルギー管理に用いられている。

 遠藤氏は新たなブランドについて、こうした既に実現されつつある各種の取り組みをさらに広げ、社会ソリューションを世界に展開していく同社のメッセージだと話し、「よりかしこく、より明るい未来のために貢献したい」と宣言した。

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