今回Inter BEEに初めて出展した日立製作所(以下、日立)のブースでは、映像ファイルを高速大容量データ転送基盤の「JP1/Data Highway」で転送するデモを行っていた。通信の盗聴を防ぐHTTPS通信を採用しているほか、データ送信先の制御や、決められた相手のみがデータを受け取れるようにするアクセス制限、送信前に上長が内容を確認する承認機能がそろっており、安全にデータをやり取りできるのがウリだ。
リムーバブルメディアで映像データを配送しようとすると、宅配便やバイク便などの物理的な配送手段をとることになり、時間やコストがかかるうえ、盗難や紛失、事故のリスクは避けられない。一方でJP1/DHならば、「送り先が遠いから配送に時間がかかる」という距離の問題から解放されるほか、夜間のうちにデータを転送しておくといった柔軟な対応も可能となる。日立のほか富士フイルムなども「Secure Deliver」や「IMAGE WORKS」といったクラウドを利用したセキュアなデータ転送サービスを紹介しており、データ転送へのニーズの高さがうかがえる。
日立ではこのほか、メディア資産管理(MAM)システムを含めた、放送局向けのコンテンツ管理システムに関する展示も行っていた。MAMシステムとは、放送局やコンテンツプロバイダが保有する映像、音声コンテンツおよびメタ情報(作成日時や作成者、データ形式、タイトル、契約情報、利用実績などのコンテンツに関する情報)を管理するものだ。映像をテレビで放映するだけでなく、オンデマンド放送などインターネット上で公開するようなケースも増えた昨今、MAMの重要性は高まっているという。
サーバやストレージ製品などのラインアップはそろっている日立だが、動画編集などを含めた全体的なワークフローの構築、提案にまでは至っていなかったという。そこで同社は、フランスのDalet Digital Media Systems(以下、ダレット)と連携し、放送局向けにファイルベースのワークフロー管理システムを構築、各社に提案をしている。
「こうしたシステムは、一般的にスクラッチで開発することが多いのですが、それでは開発に時間がかかってしまう。ダレット社のパッケージ製品を使うことで、導入までの時間を大幅に減らすことができます。また、ダレット社の製品は各機能の有無やユーザーインタフェースまでカスタマイズできるので、システムを含めてスクラッチ開発に近い感覚でお客様のニーズに対応できます。今後はこうしたシステムを使い、ファイルベースのワークフローを構成する放送局がさらに増えてくるでしょう」(説明員)
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