最終的に効率的になるとはいえ、今まで行っていた業務を一気に変えるとなると、現場からは少なからず不満や抵抗が生まれるものだ。さらに全社的に改革を行うとなると、会社内だけではなく、会社間で意識をそろえることも重要になる。これが思いのほか難しかった、とアサヒプロマネジメントの堀江一樹さんは話す。
「今の業務スタイルを変えるのは面倒だという現場の声もありますし、改善の効果を実感できるまではデメリットばかりが見えるものです。そこでわれわれIT部門が、組織のカベを取り払うような取り組みを続ける必要があります」(堀江さん)
単にシステムを統一すると言うだけでは、IT部門の運用が楽になるというメリットしか伝わらない。「現場の人間を巻き込むには、業務の効率化を主目的としてプロジェクトを進めることが大事」だと堀江さんは言う。また、トップダウン型で調整することも大きなポイントだそうだ。
「現場の意識を統一するにはトップからのメッセージがいい。最初に目的をしっかりと提示しておくことで、意識がぶれなくなる。仕事をしていると、つい目的は忘れてしまうもの。『業務効率化』『在庫減少』といったメッセージを腹おちするまで、伝える必要があるんです」(堀江さん)
MCFrameを導入したことで、既存システムと比較して約30%のコスト削減ができるという。アドオンやカスタマイズ機能が大きく減り、今まで各社縦割りで配置していた運用担当者を集約できるためだ。安価なプライベートクラウド上でシステムを構築していることも、コスト削減につながっている。
ビジネス面にも効果は出ている。2014年4月から稼働を開始した天野実業は、商品在庫が20%減少したそうだ。こうした成果は共通のBIツールを通じて、全部門の人間が把握できる。「生産、販売、需給といった各部門の人間が、すべてのフローの状況をMCFrameで共有できることで、ピンチに陥る前に早めに対策が打てるようになりました。KPIを在庫量としたことも、効果が分かりやすくて良かった点です」(堀江さん)
今後はMCFrameの採用をさらに増やしていくとともに、MCFrameで蓄積されたデータをどのようにビジネスに生かしていくか、というフェーズに移行するという。「基幹システムを統一したことで、会社を超えた経営管理が可能になる。今後PDCAを回しながら新しい管理方針を探っていく予定です」(斎藤さん)
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