2012年、1台目のファイルサーバ導入から5年が経過しハードウェアサポートの期限があり、同時期の2012年9月にWindows Server 2012が発表された。このタイミングで、Windows Server 2003の移行と導入する仮想化ソフトの比較検討を始めた。
「最も重視したのは導入コスト。Windows Server 2012はハイパーバイザーのコストが発生しないので、Hyper-Vで仮想化するのがベストだと考えた。マイクロソフトのTechNetサイトや富士通のサーバ構築事例を参考にしながら、2013年春にWindows Server 2012の導入を決めた。仮想化を軸に考えていたので、仮想マシン数に制限があるエディションではなく、その制限がないWindows Server 2012 Datacenterを選定した」(東海物産 総務部電算課の永戸文基氏)
ハードウェアは3社の候補製品から、動作音が静かで3台のサーバと2台のUPSをセットにした構成が存在した富士通「PRIMERGY TX200 S7」を選定。5年の長期保守サポートとサポート拠点が会社の近くにあったのも決め手だった。構築作業を始める2003年7月までに、半年かけてアセスメント調査を行い、必要なスペックや構成を検討した上で移行フローと手順書を作成。「一番悩んだのは1つの物理サーバに何台の仮想マシンを割り当てるかだった。富士通のサイジングツールを使い、仮想マシンの割り当てを設計した」(永戸氏)。
新環境は、
とし、2013年7月に構築作業を開始。同年11月に移行が完了した。
新サーバの稼働から約1年(2014年11月現在)、仮想環境をベースにしたシステムは、運用負荷とサーバ障害による業務リスクが大幅に減ったという。
「これまで受発注システムがダウンすると、部品交換・OSの再設定・アプリケーションの再インストールなどの作業で、これまでは復旧に最大3日ほどかかっていた。この間、受発注業務は手書き。ユーザーは手間がかかるだけでなく、記述ミスが起こる可能性も高かった。新しいHyper-Vによる仮想化環境は、万一時も半日ほどで短期に復旧できる。運用負荷とサーバ障害による業務リスクを大きく減らせた」(永戸氏)
今回のサーバ仮想化を実現を皮切りに、今後はグループウェアの導入を検討。その上で、次回のシステム更新時にIaaSを導入してサーバをクラウド化し、バックアップを社内に置くシステム拡張を予定するという。
この先のリスクが判明している製品とはいえ、専任担当者がいない中堅中小企業にとって「なぜ入れ替えるのか」、「そもそも何が課題か」、そして「どうしたいのか」を担当者個人が決めるのはとても難しい。
サポート終了まで約200日となった2014年12月現在、マイクロソフトも販売パートナーも、国も「まだ」の企業もあきらめないでと多くの支援施策を提供している。まずは、無料相談窓口などから自社はまず何をすべきか、これを正しく提案、支援してくれる販売パートナーを見つけるのが近道の1つと思われる。これにより、かなりの課題が解決するはずだ。
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