サイバー攻撃はもう古い サイバー戦争が“身近に”なる証拠萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(3/3 ページ)

» 2014年12月19日 07時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]
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大統領令でサイバーセキュリティを強化する米国

 米国の「サイバーセキュリティ法案2012」は、2012年8月に一度上院で否決された。バラク・オバマ大統領は、その規定の一部について検討し、2013年2月13日に「サイバーセキュリティを強化する大統領令に署名、発動させた」のである(詳細は国立国会図書館及び立法考査局の立法情報「サイバーセキュリティに関する大統領令」を参照)。

 あるネット記事(参照元)によれば、同日夕方の演説でオバマ大統領は「サイバーセキュリティの脅威が――中略――国家安全保障などに壊滅的な影響を与える結果となる可能性がある基幹インフラに重点を置く」と演説し、「米国の敵は我が国の送電網や金融機関のネットワーク、航空管制システムを妨害しようとしている――中略――何の対策も取らなかったのかと、何年も経ってから後悔することはできない」と述べた。

 また、大統領は米国議会に対し、米国の基幹ネットワークを保護するための追加法案を承認するよう求めたという。2013年の韓国での大規模なサイバー攻撃が発生する前に、米国でこうした動きがあったことは大いに注目すべきだろう。

筆者の見た“悪夢”

 ある日、元防衛省の幹部の方とお酒を飲んだ。その数日前にはドイツ在住の友人からメールが届いた。そして、筆者が主査をしている学会の場で久しぶりに「第5の戦場」著者である伊東寛氏と飲み交わした。その夜にある夢をみた。まるで、ここ数日にやりとりをした方々の話がシャッフルされた感じであった。

 その夢とは――いつもように目が覚めてカーテンを開けると、何となく違和感を覚えた。テレビのスイッチを入れても映像が出ない。NHKも映らなかった。PCもおかしく、スマホは動いているが、インターネットにつながらない。すると、家の近くで急ブレーキ音と自動車がぶつかる音がした。パトカーや救急車のサイレンが幾つも聞こえる。

 やっとつながったネットのTwitter経由で友人から驚くべき情報が入ってきた。成田空港では航空機が何機も炎上し、街中ではどこも青信号で車が衝突している。新幹線が衝突事故を起こして、周辺はパニックになっているという。その時、防衛省や皇居、そして、国会議事堂などが戦闘機とヘリコプターに包囲され、米軍基地は既に交戦状態にあった。

 日本社会のあらゆるインフラのPCもサーバも仮想敵国に占拠され、全て彼らの思うがままになっていた……。日本はとっくに勝ち目がなかった。

萩原栄幸

日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事、「先端技術・情報犯罪とセキュリティ研究会」主査。社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会技術顧問、CFE 公認不正検査士。旧通産省の情報処理技術者試験の最難関である「特種」に最年少(当時)で合格。2008年6月まで三菱東京UFJ銀行に勤務、実験室「テクノ巣」の責任者を務める。

組織内部犯罪やネット犯罪、コンプライアンス、情報セキュリティ、クラウド、スマホ、BYODなどをテーマに講演、執筆、コンサルティングと幅広く活躍中。「個人情報はこうして盗まれる」(KK ベストセラーズ)や「デジタル・フォレンジック辞典」(日科技連出版)など著書多数。

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