スマートシティ大国オランダに学ぶビッグデータの利活用戦略ビッグデータ利活用と問題解決のいま(2/3 ページ)

» 2015年02月05日 08時00分 公開
[笹原英司ITmedia]

「スマートシティ+ビッグデータ」を輸出するオランダの世界戦略

 このように海外企業がオランダ国内の新たな地域プロジェクトへ続々と参入する一方、オランダ企業はスマートシティにビッグデータの要素技術を取り入れながらパッケージ化して海外への事業展開を図っている。

 例えば、オランダのIT企業Dacomは、2014年10月にNECと共同で、ルーマニア国内にあるジャガイモ農場の気象センサーや土壌センサーで計測された環境データを収集して解析する実証実験を実施し、欧州・中東・アフリカの大規模経営農家向けにソリューションとして販売することを発表した(「NEC、オランダのデイコム社と共同で、ルーマニアの農場で農業ICTの実証実験を実施」を参照)。

ルーマニアにおける実証実験(NECより)

 総合電機メーカーのPhilipsは、2014年10月に中国のAlibaba集団との覚書締結を発表し、中国市場におけるクラウドコンピューティングやビッグデータ分析、インターネット対応型スマート家電の開発、さらにクラウドコンピューティングプラットフォームを利用した健康医療ソリューション「Health Suite」の導入を推進する方針を打ち出した(関連リリース参照)。

 またPhilipsは、2015年1月に米国マサチューセッツ工科大学と共同で、遠隔医療プロジェクト「Hospital to Home eICU」から収集した10万件以上の患者データを匿名化して研究者に提供することを発表した(関連リリース参照)。利用可能なデータとしては、患者のバイタルサイン、薬剤処方オーダー、検査結果、診断結果、重症度評価などが含まれる。

 成熟期を迎えた都市から、急成長期真っただ中の都市まで、スマートシティのライフサイクル全般をカバーすべく、ビッグデータ利活用を可能にする要素技術を取り入れながらパッケージ化して海外輸出を図る戦略は、オランダならではの特徴だ。

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