試用・検証期間中には、「本当に安定動作するのか」「出席者全員が、本当に迷わず操作できるのか」などの懸念は確かに出た。中にはペーパーレス会議そのものに抵抗感を持つ役員もいた。ただ、実導入した2015年現在、なにより操作に迷うことなく使える利便性、配布やその後の管理も含めた安全性を強く実感してもらえるようになったという。
具体的には、
といった効果が具体的に表れた。
新たな経営会議の場には、iPadとアジェンダ兼メモ用紙が1枚〜2枚あるだけ。出席する役員が資料の多さに嘆息することも多かったという従来の会議からスッとスリムになり、特に参照すべきページの指定も簡単になった。また、文字を拡大できるのも役員にとってかなり好評なようだ。
会議資料は20〜30ページに、多いときは50ページにまで及ぶこともある。会議1回あたり、最大で1500枚の資料を印刷して用意する必要があるわけだ。会議は月に8〜9回実施されるというので、まず紙だけでも年間約7万枚の削減を実現できることになる。
大量の会議資料は印刷するにも時間がかかる。モバイル会議は、サーバ上のファイルを更新するだけで、会議用iPad端末すべてと同期できる。会議直前の配布、あるいは会議中の資料追加や差し替えも可能だ。また、会議室外で待機している説明要員が、その進行をリアルタイムで認識できることなども含め、会議の運営や進行がスムーズになった。
このほか、社内に周知する必要がある内容は、各役員下のスタッフが該当の紙資料をスキャンして配布する作業もしていた。紙資料の保管スペースにも限りがあるし、会議後の資料保管状況を把握するのも難しい課題もあったが、こんな部分もデジタル化によりうまく解消できた。
「2012年10月の実導入により、経営会議の活性化、効率化、スマート化を実現することができました。正直なところ、今さら紙資料には戻れないほど効果を実感しています」(経営企画部の田澤信之氏)。
ペーパーレス化本来のメリットをきちんと得られている効果とともに、トラブルがいまだ発生していないという安定した動作の確実性もメリットに挙げる。事前準備から会議中、事後対応までルーチン化しやすいシステムが、会議の出席者と運営側の双方に受け入れられた事例といえる。
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