コニカミノルタに“億単位の商談”をもたらした名刺活用術(2/2 ページ)

» 2015年02月23日 09時00分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
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名刺を交換すればするほど、接点情報のつながりが見えてくる

 名刺を管理・共有する上で理想なのは、どの社員がいつ、だれとコンタクトしたかが直感的に分かる仕組みがあることだ。それを実現しているのも採用の決め手だった。

 名刺をスキャンするとSansanの中に顧客接点のデータベースができていくので、スタッフがいろいろなところで名刺を交換すればするほど、さまざまな企業のデータベースが確かなものになる。さらにそのデータベースには、自社のスタッフが取引先の“どの部署の、どの担当者とひも付いているか”が一目で分かるので、互いに口利きしあったり、営業のコツを教え合ったりできるというわけだ。

Photo 名刺を取り込んだあとに生成される顧客接点データベースのイメージ(Sansan提供)

 「現場で初めて会うお客さんの上層部を社内の誰かが知っていたら、その人を使ってコネクションを太くすることができます。また、例えば私が懇意にしている人の会社にうちの営業担当者が会いに行くと分かれば、口利きをして営業の成功率を高めることができるかもしれません。双方向でクロス連携できるのが大きいですね」(高橋氏)

数億円の商談の掘り起こしに成功

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 使えば便利なことを実感できる名刺管理・共有ソリューションだが、売上に貢献するまでには時間がかかるため、管理部門に導入のメリットを説得するのが難しいといわれることもある。実際、コニカミノルタ ビジネスソリューションズも、日々の営業活動の中での売上貢献は「徐々に成果が出始めている」(高橋氏)ところだったが、大型案件の取り込みに成功した使い方もあったという。その一例は、展示会での活用だ。

 ある大規模なIT展示会のブースにスキャナを持ち込み、その場でSansanを使って来場者の名刺をデータ化。翌日にお礼のメールを送り、すぐコンタクトを始めるというスピード感のある営業活動を試みたところ、30件近くの商談の掘り起こしに成功したのだ。

 「それまでは、もらった名刺を会社に持ち帰ってスタッフが手入力で入力していたので、すぐにはお礼のメールを出せなかったんですね。多くの会社がお礼のメールを出すまでに3日〜1週間かかっていたと思います。それを翌日に送ったところ、『速いね』と評価していただくことが増え、印象に残ったようなんです」(高橋氏)

 そうして掘り起こした商談は約30件。合計数億円にものぼるというから驚きだ。


 最初は10人からのスモールスタートだったコニカミノルタ ビジネスソリューションズの名刺共有は、営業現場のスタッフから好評を博し、今や350人ものスタッフが使うまで規模を拡大。営業に加えてSE職にもアカウントを付与し、質の高い商材やサービスの仕入れに役立てているという。

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