日比谷花壇のカーネーション母の日商戦 「売上120%達成」その裏側に部分最適から全体最適へ(2/2 ページ)

» 2015年02月24日 13時59分 公開
[ふじいりょう,ITmedia]
前のページへ 1|2       

対策と方法:ECサイトとモバイル専用サイト、バックエンド側の受注管理システムの統合を図る

 「このような課題の解消はもちろん、サービス品質のさらなる向上やビジネスのスピード化、効率化などを目指していくためには、これまでの部分最適化された社内システムでは対応できないことは明らかでした。また、当社が今後に向けて思い描く、ビジネスやサービスの早期展開といったニーズを考えあわせても、現状の枠組みを脱却し、統合化されたシステム基盤を構築していくことが経営的にも重要なテーマだと考えました」(日比谷花壇の中山氏/同上)

 販売戦略や顧客サービスの展開を進め、幅広いニーズに対応する。この課題解決にNECの通販統合ソリューション「NeoSarf/DM」を選定し、業務改革に挑んだ。

 ECサイトとモバイル専用サイト、バックエンド側の受注管理システムの統合を図ることを決めた日比谷花壇。機能に加え、24時間365日の稼働を支える安定性と可用性もサービス運用に不可欠なこと。システムの構築に当たるパートナーの選定にあたり、サービスと技術力以外に、小売・流通業界における豊富な実績を持ち、トータルなノウハウを持つ総合力を求めた。ここがNECのNeoSarf/DMを選定した大きな決め手になった。

photo 日比谷花壇の導入システムイメージ(出典:NEC Webサイト)

 NeoSarf/DMは、ECサイトやコールセンターなど複数のコンタクトチャネルに対応するフロント業務から、販売管理業務、バックオフィス業務までを一貫してカバーする仕組みを提供しており、細分化された機能を必要に応じて選択し、組み上げていくという導入側企業の特性に合った構成にしやすい構造としてある点を特徴の1つに据える。

 「汎用的なビジネスロジックがコンポーネント化されており、それらを組み合わせて必要なシステムを迅速に実現できることが、将来的なサービスの拡充なども考える上で非常にメリットが大きいと感じました」(日比谷花壇 EC事業部Webコンテンツ運営グループチーフの柴田晃伸氏/同上)

効果と成果:販売チャネルを横断する施策が実現、「母の日」売上が前年比120%に

導入効果

  • 販売チャネルを横断するシステム基盤に刷新。10年先も新たなサービスを迅速に提供できる環境を実現
  • 店舗スタッフ用タブレットを配置し、全体システムと連携。受注業務の効率化と速度向上とともに、顧客サービスのさらなる向上を目指せるようになった
  • 見やすさと選びやすさを念頭に置いた、より効果的なサイトデザインの刷新にも寄与

 ECサイトとバックエンドの効率化だけでなく、店舗やコールセンターも横断したシステムにしたことで、全体での受注のスピード化と効率化が実現できた。バックエンドでも、これまでのFAXや手入力を軸にしたアナログ的な連携の方法から、各店舗側のスタッフが店内のタブレットを用い、それを全体の受注管理システムに直接反映できるようにした。導入後、全受注の90%がこのプロセスに沿って行わるようになったという。

 注文から発送までの時間を短縮できれば、直接、そして全体的な顧客サービスの向上になり、かつ外注していた受注システムへのデータ入力業務に関わるコストの削減にもつながる。こういった各販売チャネル別施策からバックエンドの基幹まで全体的な効率化を図った結果、導入後に訪れた重要商戦の1つ「母の日」の2014年売り上げで、前年比120%を達成したという。

photo 2015年の母の日は5月10日(日)。日比谷花壇のWebサイトでは、すでに「母の日ギフト特集」ページが立ち上がっている(2015年2月現在)

 記念日には、この日にこれが必要と顧客は明確な意識を持ってサイトへ、店頭へ訪れる。ECサイトもこのニーズに沿ってデザインを最適化し、潜在的な需要が多かった来店予約機能も実装するなど、統一したサービスやプロモーション展開ができるようになった。「記念日+花を贈る」の機会をFacebookなどのSNSを経由して購買を促す新しい施策なども取り入れている。

 「統合された基盤を構築できたことで、各販売チャネルに関わるフロント→バックエンドシステムの全体最適化に向けて、大きな一歩を踏み出せた。これにより、販売チャネルを横断した統一プロモーションを行うなど、顧客サービスのさらなる向上が可能になる。将来的には、今後、現場の店舗スタッフが発注の処理だけではなく、スタッフ自身が必要な情報を入手したり、必要な業務を行える仕組みなども整備していきたい」(日比谷花壇の中山氏/同上)

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ