Microsoftがクラウド事業におけるパートナー企業とのエコシステムづくりに注力している。果たしてパートナーやユーザー企業にどのようなメリットがあるのか。
「Microsoftはこれまでパートナー企業とともにビジネスを展開してきた。クラウド事業においても引き続き相応しいエコシステムを構築し、力を合わせてユーザー企業のビジネスの成功に貢献したい」
米Microsoftコーポレートバイスプレジデント ワールドワイドパートナーグループ担当のフィル・ソージェン氏は筆者の取材に応じ、こう強調した。
Microsoftは昨年(2014年)7月、米国で開催した「Worldwide Partner Conference(WPC)」において、クラウド事業におけるパートナープログラムを発表。それを基にワールドワイドでパートナー企業との新たなエコシステムづくりに注力している。ソージェン氏はこの取り組みの統括責任者で、先週来日したのも日本市場での展開を強力に押し進めるためだ。
Microsoftが新たに設定したクラウド事業向けのパートナープログラムは、同社のクラウドサービスにパートナーが独自のソリューションを付加してユーザーに提供する「Cloud Solution Provider(CSP)」と、同社のクラウドサービスを基にしたハイブリッドクラウドのネットワーク系ソリューションをユーザーに提供する「Cloud OS Network」の2種類からなる。
Microsoftとしては、特にCSPプログラムによって、すでに「ホスティングサービスプロバイダー(HSP)」契約を結んでいる約2万6000社のパートナーを中心にクラウド事業への移行を促進したい考えだ。このため、同社のクラウドサービスの販売・マーケティングから導入、展開に必要なノウハウを提供するとともに、技術サポートやトレーニング、ユーザー向けセミナーの実施といったきめ細かい支援を行う体制を整えているという。
一方、パートナーにとっては、CSP契約を結べばMicrosoftのクラウドサービスの再販、サブスクリプションの提供、請求、サポートとともに独自のソリューションを付加し、自社が前面に立ってユーザーに統合したサービスを提供できるようになる。言い換えれば、Microsoftのクラウドサービスを組み込んだ自社のソリューションをユーザーに提供できるようになるわけだ。
ちなみに、MicrosoftではこのCSPプログラムの対象クラウドサービスとして、まずオフィスツール群の「Office 365」を中心に展開しており、順次、顧客情報管理の「Dynamics CRM Online」やPaaSの「Microsoft Azure」などにも広げていく計画だ。
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