セキュリティ事故に備える「CSIRT」構築術

セキュリティ問題を引き起こすインシデントの最新実態とは?セキュリティインシデントに立ち向かう「CSIRT」(2/2 ページ)

» 2015年03月05日 08時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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インシデントによる被害の実態

 IPAが2015年1月に公開した「情報セキュリティ事象被害状況調査」の報告書では、国内企業における2013年度のインシデントの状況や被害などが分かる。同調査は、IPAからのアンケートに回答した1913社の状況を取りまとめたものだ。

 企業にとって、ある意味で“身近な”セキュリティインシデントの1つが「コンピュータウイルス」だろう。ウイルスに「遭遇」(感染や発見)した企業は73.8%あり、感染した企業は16.6%、感染に至らなかった企業は53.7%だった。「遭遇」した企業でのウイルスの侵入経路は、「インターネット接続(65.4%)」「メール(60.6%)」「外部記録媒体(34.5%)」「ダウンロードファイル(28.1%)」の4つが全体の多くを占める。ネットワークやコンピュータに直接接続するデバイスが主な要因となっていることが分かる(グラフ5参照)。

グラフ5:コンピュータウイルスの侵入経路(2012年度調査結果との比較)、出典:IPA

 また、ウイルスに感染した企業(回答317社)の状況は、感染件数が「5件以上」が37.9%と最も多い。「1件」も27.4%あったが、全体的には複数回の感染を経験している企業が大半だ。感染したコンピュータの台数は、PCでは「1〜4台」が49.2%で最多。従業員規模別では300人以上で43.3%、300人未満では67.9%と、小規模な企業でPC感染が割合が高い。ウイルス感染に伴う直接的な被害は、「個人の業務停滞(42.3%)」や「PC単体の停止(31.2%)」が多い。ただし従業員300人未満の企業は、情報の破壊や漏えい、ウイルスメールの発信、システム停止・性能低下を挙げた割合が300人以上の企業よりも高く、小規模な企業ほど被害の内容が広範囲に及ぶ。

グラフ6:ウイルスの直接的な被害(従業員規模別)、出典:IPA

 次にウイルス感染を除いた「サイバー攻撃」は、6割以上が「攻撃を受けなかった」としたものの、「攻撃で被害にあった」と「攻撃を受けたが被害には至らなかった」の合計は19.3%に上り、2012年度から5.5ポイント増加した。「攻撃で被害にあった」企業は2012年度が2.4%、2013年度が4.2%で、1年で2倍近く増えている。「わからない」との回答は、両年度とも17%近くに上っている。

 サイバー攻撃による被害(回答80社)は、「Webサイトの改ざん(不正サイトへの誘導およびウイルスの設置などを含む)」が28.8%、「Webサイトのサービスの機能低下」が22.5%、「Webサイトの停止」が13.8%など、Web関連が目立つ。2012年度比で改ざんの被害は約10ポイント低下したが、機能低下は11.4ポイント、停止は7.1ポイントそれぞれ増加している(グラフ7参照。攻撃の手口(回答368社)は、「DoS攻撃(43.2%)」「標的型攻撃(30.4%)」「脆弱性攻撃(15.8%)」の順に多かった。

グラフ7:サイバー攻撃による被害、出典:IPA

 また、特定の組織を狙う「標的型攻撃」を受けた企業(回答112社)では「発見のみ」が80.4%を占めるが、ウイルス感染や不正アクセス、情報漏えいなどが確認された企業も18.8%あった。攻撃手段では、なりすましメールに添付したウイルスファイルを開かせるものが54.4%、メールに記載したURLで攻撃サイトに誘導するものが40.2%あり、メールを使う手口が主流であることが分かる。標的型攻撃の疑いがあるメールの件数では「10通以上」が全体の半数以上を占め、1000通以上を受信した企業も7.1%あった。

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