「勝者は顧客」── 最良技術の統合で企業のビッグデータ活用を後押しするTeradata(2/2 ページ)

» 2015年03月11日 09時00分 公開
[浅井英二ITmedia]
前のページへ 1|2       

 Teradataはビッグデータへの対応もいち早く手を打っている。先ずは2011年、Webのアクセスログやテキストデータといった膨大な多構造化データの分析を得意とするAster Data Systemsを買収、新たな並列処理型データベースとして「Teradata Aster」を仲間に加えた。このTeradata Asterは、リレーショナルデータベースと、Googleが採用した並列処理のためのフレームワークであるMapReduceを統合したもの。SQL記述と同等のスキルでMapReduceの関数を利用することができる同社の特許技術、SQL-MapReduceは、企業が既存のスキルやBIツールを生かしてビッグデータから洞察を導き出すことを可能とした。

 2012年には、MapReduceの実装として最も人気のあるHadoopを取り込み、Teradata、Teradata Aster、そしてHadoopという3種類の並列処理型データベースをシームレスに連携できる「Unified Data Architecture」を発表した。これにより、ビッグデータの取り込みとアーカイブに優れた性能を発揮するHadoopと、ビッグデータから洞察を発見したり、分析することに長けたAsterを上手く組み合わせて使えるだけでなく、これまで構築してきた大規模なTeradataデータウェアハウスとも密に連携させ、あらゆる種類のデータを効率良く活用できるようになるという。

 Hadoopへの取り組みについて言えば、当初は、Hortonworksと提携し、同社の商用版Hadoopを組み込んだアプライアンスを提供していたが、最近では企業向けのHadoopディストリビューションに力を入れるClouderaやMapR Technologiesとも提携強化を相次いで発表、Teradataが彼らの商用版Hadoopを提供するだけでなく、コンサルティングや実装、保守サポートも開始している。

 ブロブスト氏は、これこそがTeradataの「ベスト・オブ・ブリード戦略」であり、他社にはない価値を提供できるとする。ビッグデータ分析のライバルであるOracleやIBMが、ツールベンダーを買収し、自社のスタックとして統合してしまう「スタック戦略」とは大きく異なる。

 「データから洞察を引き出す過程を製品開発にたとえれば、データレイクからビジネスに価値をもたらす新しい関連性やパターンを見つけ出す作業はR&Dに相当する。求められるサービスレベルは、分析から得られた洞察を日々の業務の意思決定に役立てたいビジネスユーザーとは異なるし、平凡な機能のスタックでは駄目だ。イノベーションは、短期間に出来るだけ多くの実験を行い、失敗を重ねることで生まれると言ってもいい。そのため、データサイエンティストはパワフルかつ柔軟でアジリティのある分析基盤を必要とする」(ブロブスト氏)

 Unified Data Architectureの狙いは、SASやNoSQLのMongoDBはもちろん、次々と生まれてくるさまざまなテクノロジーを顧客企業に代わってTeradataがまとめ上げ、「データR&D」のために適した環境も用意することだ。

「顧客がTeradataのサービスを望んだ」とMapRのCTO

 「HadoopとTeradata Databaseはそれぞれ得意とするところがある。前者はデータレイクのような必ずしも価値があるのか分からない膨大なデータを得意とし、後者は価値あるデータを多くのビジネスユーザーの意思決定に役立てるのを得意とする。われわれの提携強化は両者のシナジーを企業にもたらすことであり、その意味で勝者は顧客だ」

 そう話すのはMapR Technologiesの創業者でCTOを務めるM.C.スリバス氏。同社は昨年11月、Teradataと技術の統合や共同製品の開発、さらには市場開拓などで提携の強化を発表した。その商用版のHadoopディストリビューションは、データの信頼性やリアルタイムの分析処理で高い評価を受けているという。

 「MapRは、ほかのHadoopディストリビューションに比べ、品質や性能、信頼性が優れているだけでなく、リアルタイムで大量のデータを取り込み、分析処理できるのが特徴だ。例えば、多くの自動車メーカーが自動運転の技術を開発しているが、道路や信号の状態、ほかのクルマや歩行者の挙動など、多種多様かつ大量のデータを瞬時に取り込み、分析していかなければならない。MapRならそれができる」とスリバス氏。

 両者の協業は、共通の顧客も後押しした。

 「多くの顧客がコンサルティングや実装、保守サポートといったTeradataのサービスを望んでいた。ベストなツールを選択して購入するだけでは、ビジネスの課題を解決することはできない。そのためのアドバイスが重要になってくる」とスリバス氏。

 Teradataは社員1万2500人のうち、半数近い約6000人がコンサルティングサービスに従事しており、顧客がデータから価値を引き出す取り組みを支援している。昨年9月には、シリコンバレーを拠点とするコンサルティング企業、Think Big Analyticsを買収した。同社は、Hadoopの活用をはじめとするビッグデータ分析のコンサルティングサービスに定評がある。Teradataのコンサルティング部門に統合していくとともに、今年後半には欧州や日本でもサービス展開が始まるという。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ