親子で知るべき情報セキュリティの基本とPC、スマホの使い方萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(2/2 ページ)

» 2015年03月13日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]
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スマートフォンの注意事項

ウイルス対策アプリは信用しない

 特にAndroidに言えるが、現状では多少まともなもの(Googleが管理者権限で動くウイルス対策機能を実装した)が登場したが、そのウイルス検出率はあまりに酷い。一般権限で動く専業メーカーのウイルス対策アプリとGoogleの対策機能を組み合わせても、その効果はまだPCに及ばない。

 防衛策は、まず「危ないサイトに行かない」ことだ。有料アプリをタダでダウンロードできると称したアングラサイトにアクセスしてはいけない。アクセスしたら最後、まず間違いなくウイルスに感染させられてしまう。また、メールに添付されたファイルを開いたり、リンク先にアクセスしたりすることも避ける。添付ファイルは送信者に確認してからPCで処理すべきだ。メールに記載されたリンク先はウイルス感染サイトである場合が多いので要注意だ。

「ながらスマホ」はやめて!

 筆者は本当に危険なシーンを何度も目撃してきた。先日も下りエスカレータで立っていた老人の横側を、若者がスマートフォンを操作しながらすり抜けようとした。その時に若者と老人が接触し、老人は数段下まで滑り落ちて筆者が受け止めた。もし誰もいなければ老人は大けがをしていただろう。老人の場合、骨折がきっかけで寝たきりになる人も多いので、絶対にやめてほしい。

満員電車での両手スマホ

 スマートフォンを両手に持ってゲームに明け暮れている人がいる。満員電車の場合、迷惑この上ない。周囲が嫌な顔を知らぬふりで、もっと酷いケースでは音を垂れ流す人間がいる。

スマホを改造しない

 iPhoneやiPadでは「脱獄」、Androidでは「root(ルート)化」と呼ばれる行為をする人がいる。いずれも製品のロックを解除して、通常ではできない“改造”を可能にする行為だ。「マイスマホにしたい」と趣味でこうした行為をしたがる気持ちは分からなくもないが、してはいけない。万一それがもとでウイルスアプリに感染して仲間の個人情報が漏えいしたら、本人は責任が取れるだろうか。そもそも自分で気が付かないうちに感染している可能性が高い。メーカーが想定している範囲内で賢く使うべきだ。

スマホの買い替えに注意

 最近大きな問題になっているのが、中古端末を買い取り、保存されていた個人情報や電話帳、画像、メールなどのデータを勝手に復元して、アンダーグラウンドで売りさばく人間だ。ユーザーや店舗担当者が「初期値に戻す」「初期化」というメニューを信じて作業しても、大部分のデータの“実態”が残っている場合がある。詳しくは割愛するが、その削除のレベルは機種や機能、アプリによって千差万別だ。

 本当にデータを消したいのであれば、(1)その端末専用の完全消去ソフト、(2)大容量データの上書き(録画をずっと起動しておくのも含む)――といった方法があるにはあるが、フラッシュメモリなどの場合ではデータの上書きだけでは論理的に完全に削除できない可能性がある。筆者が知る限り、フラッシュメモリ系の完全消去ができるのは米国に本社がある専門メーカーのソフトだが、個人向けには販売されていなかった。

 最も安心な方法は、資源リサイクルに協力するという前提で、自分自身で端末に釘を打ち込むか、クラッシャー装置で穴をあけることだ(メモリ部分のチップを破壊することが必要)。

「スマホ人間」になるな!

 SNSやゲーム、ネット、音楽、写真……。一時でも手からスマートフォンを離せないという人がいる。月に1、2回でも良いのでスマートフォンを自宅に置きっぱなしにして、外出してほしい。美しい景色をスマートフォンのカメラではなく自分の目で見て感動してほしい。カメラ画像を通して得た視覚と、肉眼での実感は大きく異なるはずだ。感動はカメラ画像には映らない。

 「今日の夕食はこんなイタ飯よw」なんてSNSに投稿する人がいるが、もはや食事より撮影が目的になっている。日本人は料理しか撮影しない。外国人は必ず仲間と食べている様子を撮影する。そう、外国人が撮影する写真は、仲間と過ごした感動が主体である。この大きな違いをぜひ理解していただきたい。

萩原栄幸

日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事、「先端技術・情報犯罪とセキュリティ研究会」主査。社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会技術顧問、CFE 公認不正検査士。旧通産省の情報処理技術者試験の最難関である「特種」に最年少(当時)で合格。2008年6月まで三菱東京UFJ銀行に勤務、実験室「テクノ巣」の責任者を務める。

組織内部犯罪やネット犯罪、コンプライアンス、情報セキュリティ、クラウド、スマホ、BYODなどをテーマに講演、執筆、コンサルティングと幅広く活躍中。「個人情報はこうして盗まれる」(KK ベストセラーズ)や「デジタル・フォレンジック辞典」(日科技連出版)など著書多数。

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