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» 2015年03月18日 10時00分 UPDATE

Computer Weekly:SAPユーザーグループ代表「SAPはHANAへ移行させようとしている」

英国のSAPユーザーグループ代表に、SAPに対する本音を聞いた。SAPのライセンス戦略を高く評価する一方でユーザーの立場から冷静に動向を観察している。

[Brian McKenna,ITmedia]
Computer Weekly

 フィリップ・アダムス氏は、英国およびアイルランドの独SAP製品ユーザーグループの代表で、アイルランドの建設会社Mercury EngineeringグループのIT部門を統括している。アダムス氏によると、最近のSAPには、ユーザーにHANAへの移行を促す圧力を高める兆候が見られるという。本誌Computer Weeklyは、英バーミンガムで開催された同ユーザーグループの2014年次大会の場で同氏に話を聞いた。このとき同氏は、これまでSAPが行ってきた、英国やアイルランドのユーザーに対する働きかけの評価を語ってくれた。以下はそのインタビューの抜粋である。

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ユーザーグループに対する、この数年のSAPの活動をどう評価するか。良かった点、さらなる改善を望む点は何か

 評価したい最大のポイントは、2014年6月の「Sapphire」(カンファレンス)で、既存のSAPユーザーに「SAP Fiori」(SAPのアプリケーション群)を無償で提供すると発表したことだ。この施策は、われわれSAPユーザーの多くが感じていた大きな懸念を解消するものだった。次に示す2つの理由から、われわれはこの発表に大変満足している。

 まず今回のことで、ユーザーグループもサプライヤーに対して大きな影響力を持つことが明らかになった。特に(世界各地のユーザーグループのリーダー16人で構成する)SUGENネットワークは大きく貢献した。これは、ユーザーグループの力を世間に示すいい例になった。しかも各グループの本拠地だけでなく、グローバルでも影響力があることが分かった。

 またライセンス体系の観点からも、われわれ(ユーザーグループとSAPは)正しい方向に向かっていると感じている。イノベーションを実現するためのハードルを下げる方向だ。

ライセンス体系の変化は、SAPが掲げる「run simple」(シンプルにいこう)というスローガンが実現された成果だと考えるか

 SAPはライセンシングプロセスの簡素化に継続して取り組んできた。一例を挙げると、価格体系から「limited professional」(限定プロフェッショナル)カテゴリを廃止した。これが混乱の原因となっていたからだ。ジョー・ラローサ氏(SAP副社長、グローバル価格戦略担当)がわれわれに説明したところによると、同社はユーザーグループの協力を得て、今後も引き続きライセンス体系の簡素化を進めるそうだ。

 われわれユーザーグループ加盟企業は、SAPの最新テクノロジーを利用したいのはやまやまだが、複雑さと移行のしやすさの面で懸案事項がある。(新しいテクノロジーの)実装プロセスに課題があることはSAPも認識している。「run simple」のスローガンに沿って、同社はその反省を、Simple Financeなどを含む「S-innovation」シリーズの製品ラインに反映させている。

 S-innovationシリーズは、ジム・スナーべ氏(SAPの前共同CEO)が2013年のカンファレンスで言ったこと、すなわち同氏がSAPを去るときに社員に対して残していったメッセージ「ユーザーのITをシンプルにすることでユーザーの心をつかもう」が結実したものだ。しかし、企業が経営効率を高めてストレージなどのITインフラへの投資を抑えるとき、削るのは新しいテクノロジーやイノベーションに当てようとしていた費用となることが多い。

では「run simple」はSAPのマーケティング上の単なるお題目ではなく、ユーザーグループの他企業にも受け入れられているのか

 ユーザーを早くHANAへと移行させるための方便にすぎないと、(run simpleに対して)慎重な見方をする企業もある。このスローガンに共感するには、われわれのビジネス面から見た根拠がほしい。例えばデータストレージの利用量を減らせるなら、それは純粋に利益を生むことになる。大規模な社内システムを運用する立場としては、オンプレミスであれクラウドであれ、(構築した自社)システムの効率を最大限に引き出して運用していることを確かめたくなるものだ。

SAPはユーザーに対して、HANAを搭載したクラウド環境に移行させるプレッシャーを強めているとあなたは感じるか

 個人的な推測だが、クラウドはあらゆる人に奇跡を起こすソリューションになるとは限らないと、SAPは判断したのではないか。1年前に比べると、クラウドを強調するトーンが弱まっていると感じる。ただしHANAについては間違いなく、SAPは(ユーザーに)すぐにでも移行してほしいのだと思う。

 例えばFioriは、HANA以外の環境ではそこそこの効果しか得られない。Fioriを最大限に活用するにはHANA環境が必要だ。Simple FinanceなどのS-innovationスイートでも同様のことがいえる。

あなたの所属企業でHANAを導入する予定はあるか

 いや、全くない。私の会社ではデータベースはMicrosoft SQL Serverを採用し、多額の投資をしてきた。この資産から利益が得られなくなったと思わない限り、HANAに乗り換えるつもりはない。今のところ、経営陣に「すぐHANAに移行したいので、ウン十万ポンドの予算をください」とお願いしたい気持ちにはなっていない。

 HANAが発売された当初は、ビッグデータへの対応と実行速度がアピールポイントだった。しかし今は、HANAとビジネススイートとの連携を強調するようになってきている。もっとも、今すぐHANAに移行しても、得られる効果はせいぜいFioriの全機能が使えるぐらいではないか。

 SAPのアカウントマネジャー(ユーザー対応の営業担当者)は、単に製品を販売するだけではなく、(自社の新しいテクノロジーの)効果に対する理解をもっと深めてほしい。われわれの調査では、ユーザーグループの加盟企業の51%は、SAPのアカウントマネジャーには自社製品またはIT業界全般に関する知識が足りないと回答した。残りの49%のユーザーはSAPアカウントマネジャーの製品知識は十分であると感じていると解釈したい向きもあるだろうが、その見方は正しくない。ユーザーはテクノロジーを利用したいのではなく、利益を上げたいと考えている。(SAPの新しいテクノロジーで)利益が実際に上がれば、ユーザーはSAPに信頼を寄せるようになり、SAPとそのユーザーとの間にビジネス上のパートナーシップが築かれる。

SAPに限らないが、最近はIT部門ではなく実務部門の管理職や経営幹部に直接製品の売り込みを掛ける例が目立つようになっている。この傾向についてどう考えるか

 われわれも実務部門に対する(サプライヤーの)働きかけが増えていると実感している。事業経営の場面では、IT部門は利益に貢献するというより経費を食うお荷物のような位置付をされることがあるからだ。

 サプライヤーがIT製品を実務部門に直接売り込むことは、ユーザーにとっては軽微ではあるが経営上のリスクが生じる。社内のガバナンスやシナジーが失われる場合があるからだ。実務部門の管理職は、セキュリティに対する意識が非常に薄い。管理職は、各自に課された目標を達成するためのソリューションが入手できれば、それ以外のことには構わないからだ。

 私自身は、SAPがCIOのチャネルを経由してくれることを望んでいる。

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