27面モニタを駆使する静岡銀行の非常事態対策、普段はどう使う?

静岡銀行が東海地震などに備えた本部棟を建て替えた。先進の災害対策をITで講じているが、有事以外でもビジネスを支える基盤となっている。

» 2015年03月23日 14時24分 公開
[ITmedia]

 静岡銀行(本店:静岡市)は、創立70周年の記念事業の一環として2014年に免震構造を採用した新本部棟の「しずぎん本部タワー」を竣工、2015年1月に運用を開始した。同本部には東海地震などの災害時に事業継続を支えるための「非常事態対策室」が設置されている。

 非常事態対策室は、監視カメラや拠点のビデオ会議映像、テレビ放送、Web画面など最大27画面を同時表示できるマルチモニタを備える。データを同時に表示してリアルタイムに情報を集中把握できる仕組みだ。シスコシステムズのビデオ会議「Cisco TelePresence SX20」「同EX60」なども導入して、緊急時には同行の177拠点と本部を結ぶビデオ会議システムも構築。IP電話で瞬時に電話環境を利用できるようにもしており、速やかな状況の把握と意思決定を可能にしているという。

有事に情報集約と意思決定の拠点になる「非常事態対策室」(シスコシステムズ資料より)

 ただ、非常事態対策室が機能するのは万一の災害時になる。同行では「第12次中期経営計画」でフリーアドレスやペーパーレス化などによる新しいワークスタイルの確立も掲げており、非常事態対策室の構築に合わせてワークスタイル変革のための環境も整備した、

 上述したビデオ会議システムは、平時は店舗間会議や本部と支店間の双方向性を生かした研修などに活用し、業務スピードやコミュニケーションの向上と、移動時間や交通費の削減などの効果を期待する。

 また、フリーアドレス化している新本部棟では全フロアに無線LANを展開し、IPフォンを導入した。IPフォンでは行員がログインするだけで、すぐに自席のような環境を実現できる。これによって臨機応変に業務に対応でき、コミュニケーションや業務生産性の向上が期待されるという。

フリーアドレス化された「しずぎん本部タワー」(同)

 1月の運用開始に合わせてグループ企業7社も新本部棟に移転し、グループ間でも業務連携の強化も見込む。

 経営管理部 総務管財担当部長の中村泰昌氏は、「有事対応のための設備として導入したが、有事は滅多に起こりらないので、平時でも設備を有効活用できることが重要だと考えていた。今では支店長やブロック長がビデオ会議で連絡を取り合うなどコミュニケーションが変化しつつある。有事の際にもスムーズに対応できるだろう」と述べている。

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