弘前大学、外部連携可能な1万ユーザーの統合ID基盤を構築

2011年に導入したプライベートクラウド基盤の更新に合わせて、学生や教職員が1つのIDでシステムやサービスを利用できる統合ID基盤を構築している。

» 2015年04月03日 13時33分 公開
[ITmedia]
弘前大学

 青森県の弘前大学が、外部のメールサービスとも連携する学生や教職員約1万人向けの統合ID管理基盤を構築し、4月から運用を開始した。構築を手がけたネットワンシステムズが発表した。

 弘前大学では2011年2月から、ネットワンシステムズの構築で学内プライベートクラウドを利用してきた。今回はこの更新に合わせてプライベートクラウド上に統合ID管理基盤と、Active Directoryなどと認証連携する機能を実装させ、単一のIDで学内システムやメールサービス、学内無線LANを利用できるようにした。機能面では入学や卒業等に伴うIDの更新作業を更新用データから一括して反映できるようにしている。

更新前のプライベートクラウド構成(出典:ネットワンシステムズ)

 プライベートクラウド基盤の更新では(1)教育と研究を促進する最先端システムの実現、(2)利便性向上を目的とした無線LANエリアの拡大とID管理/システム連携認証、(3)災害時の情報発信およびコミュニケーションの継続――が重点項目となった。

 (2)については上述の統合ID基盤や認証連携を通じて学生・教職員によるシステムやサービス利用での使い勝手が向上した。(3)では東日本大震災を教訓にクラウド型のメールサービスを採用することで、災害時に公式サイトの情報発信やメールによるコミュニケーションを継続できる環境を実現したという。

 更新されたプライベートクラウド基盤では約170の仮想サーバが稼働する。ネットワンシステムズは、弘前大学側に事前検証済みパッケージの仮想化基盤製品「VSPEX」(EMC)を提案、システム構築にかかるテストや検証などの工程を省力化して初期コストを削減できる点などが評価されたという。製品構成はVMware vSphere(仮想化ソフト)、vCenter Operations Manager(仮想化基盤管理ツール)、Cisco UCS Bシリーズ(ブレードサーバ)、VNXおよびIsilon(ストレージ)、Trend Micro Deep Security(サーバ向けセキュリティ製品)。

更新後のイメージ(同)

 これら製品の一元的な運用管理が考慮され、運用コストや作業負荷の軽減も期待する。また、障害発生時の自動復旧やメンテナンス時のサービスの無停止化も図った。WebDAVのファイル共有機能も導入して大学の内外から大容量サイズのファイルでも安全に共有できるようにした。

 弘前大学 総合情報処理センターの佐藤友暁准教授は、「更新では東日本大震災を受けて外部クラウドサービスの利用もポイントに掲げた。無線LANも学内全域に拡張し、学内仮想基盤とクラウドサービスの連携認証まで、大幅に進化した情報基盤システムとすることができた。今後はより良い教育・研究環境を提供したい」と述べている。

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