今の給与システムはそのままでOK 「Attack Board」マイナンバー対応版

アグリーメントが、Excel統合運用ソリューション「Attack Board」にマイナンバー対応機能を実装したアプライアンス用ソフトウェアを開発。現在の人事給与システムはそのままにマイナンバー対策がとれる。

» 2015年05月26日 16時00分 公開
[岩城俊介ITmedia]

 アグリーメントは5月19日、現在の人事給与システムのままマイナンバーに対応するアプライアンス用ソフトウェアを開発したと発表。2015年6月3日より受注を開始する。

 ExcelデータやWebデータの自動統合ソリューション「Attack Board」の技術を応用し、マイナンバー制度の対応で求められるシステムのガイドラインに準拠した機能を実装したソフトウェアとして展開。既存の業務システムはそのままにマイナンバー対応ができること、また、税や社会保障野以外で見込まれる今後のマイナンバー利用にも柔軟に対応できる設計である点を強みにする。

photo マイナンバー管理用Attack Boardの仕組み
  1. データ取得(Webより入力されたマイナンバーや確認用画像などをサーバ側で暗号化し、格納)
  2. サーバでのデータ管理(マイナンバーへ12ケタの複数の桁を追加したあと暗号化し、格納する)
  3. データ利用(給与データなどが送られていた場合のみ、特別名符号で本人の給与データとマイナンバーをマッチングして帳票へ付与し、出力ないし該当機関へのデータ送信を可能にする。サーバは利用権限を持つ管理者のみ利用できるよう制限)

 の、マイナンバー対応のためのガイドラインに沿った安全管理処置が施せる。

 Attack Boardは、Microsoft Excelをフロントエンド(作業者の入出力インタフェース)にERPや既存システムと連携、統合できる機能を持つ。Windows Server 2012+SQL Server 2012などのサーバ環境上で動作する。

photo Attack Boardの特徴

 同社パートナーを通じた方法のほか、マイナンバー向けアウトソースサービス提供事業者への販売も見こむ。ソフトウェア価格はライセンス買い取り版が9万8000円(30ユーザー)から、年間サブスクリプションライセンス版が年間3万円から(30ユーザー)。オンプレミスサーバを必要としないクラウド版の展開も計画する。


マイナンバー制度とは

 マイナンバー制度は、2013年5月24日に成立した「マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)」によって、複数の機関に存在する個人の情報が「同一の人の情報である」ことの確認を行うための基盤である。2016年1月に開始する。

 国民一人ひとりに固有の12ケタの番号の「マイナンバー」を割り当て、それに基づき国民の生活や収入など各自の事情に応じた行政サービスの迅速化を図る目的で導入される。主に(当初は)、社会保障制度(年金、医療、介護、福祉、労働保険)、税制(国税、地方税)、災害対策に関する分野に使われる。2015年10月5日よりマイナンバーが付番された通知カードが国民一人ひとりに届き、個々の申請手続きによって個人番号カードが交付される。

 事務を担当する機関は行政機関や自治体などだが、社会保障や税に関する届出に必要な従業員のマイナンバー収集や以後の管理は個々の民間企業、ないしその委託先が担う。例えば、税分野では、税務当局へ申告する各企業が番号の収集と管理を行い、給与所得の源泉徴収票などさまざまな帳票へ記載する対応が必要となる。基本的には、すべての民間企業や団体が当てはまるものとなる。

 マイナンバーを含めた個人情報は「特定個人情報」と定義され、取り扱いが厳格に規定される。これまでの個人情報保護法では対象外(5000件以下)の事業者であっても、それを1件でも取り扱うならばマイナンバー法における「個人番号関係事務実施者」となり、規制の対象になる。罰則も個人情報保護法より種類が多く、法定刑も重くなっている。一例として、正当な理由なく業務で取り扱う特定個人情報を提供した場合「4年以下の懲役または200万円以下の罰金」が科せられることがある。

 マイナンバーの取り扱いにおいて民間企業は「必要な範囲を超えて扱わない」「情報漏えいしないよう安全に管理する」「取り扱う従業者を教育、監督する」「委託先を監督する」などの義務や責務を負う。具体的にはマイナンバー制度の開始までに、マイナンバーの収集において厳格な本人確認を行うシステム、情報漏えい防止のための安全管理処置を講じること、そのための社内ITシステム改修やポリシーの制定、改訂を行っていく必要がある。データ保護の方法については、例えば「データの暗号化」や「パスワード保護」、そして「暗号鍵やパスワードの適切な管理」を行うようガイドラインで示されている。

 マイナンバー関連業務をアウトソースするにも、その委託先(その委託先の委託先も含めて)が適切かつ安全に管理、運用しているかを自社が監督する義務がある。漏えい事故が発生すれば、自社も罰則の対象になる。アウトソーシングサービスの選定も、マイナンバー法施行に対応した安全、確実な対応と対策手段を設けている事業者かを見極める必要がある。




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