マイナンバー2015

マイナンバー対応に向けて経営者がなすべきこと特集「企業のマイナンバー対応」(2/2 ページ)

» 2015年06月24日 08時00分 公開
[松岡功ITmedia]
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経営者がなすべき「攻め」の役割:マイナンバーで新たなビジネスを創出せよ

 こうした「守り」を固める取り組みの一方で、マイナンバーをビジネスの「攻め」に生かすうえで、経営者がなすべき重要な役割がある。マイナンバーをビジネスに生かすとはどういうことか。そのカギを握るのが、希望者に無償で配布される「個人番号カード」の活用である。

 個人番号カードのICチップに組み込まれた電子証明書を使えば、新たなビジネスを創出する可能性がある。個人番号カードのそうした活用の仕組みは、図3のようになっている。企業は、総務大臣の認定を受ければ、個人番号カードを活用できるようになる。

photo 図3 個人番号カード活用の仕組み(出典:NECの資料)

 具体的には、クレジットカードやキャッシュカード、ポイントカード、オンラインバンキング、各種資格証や会員証、従業員管理などを、個人番号カードと一体化して利用できるようになる。さらに、法制度や基盤の整備次第で高齢者の見守りやヘルスケアの分野にも活用できる可能性がある。

 さて、こうした新たなビジネス創出の可能性がある中で、経営者がなすべき重要な役割とは何か。それは、まずマイナンバーがビジネスに生かせることを認識し、自社のビジネスにどう生かせるか、どのような需要が見込めるかといった点について、関係部門にスピーディに検討させ、需要が見込めるならばビジネス化を急ぐことである。

 こうした個人番号カードの活用による新たなビジネスの創出については、まだあまり話題に上っていないが、実は金融や流通といった大きな影響が及ぶ可能性が高い業界では、水面下で激しい競争が始まっており、むしろ新たなビジネスに出遅れた際に相当なダメージを受けかねないとさえ見られているようだ。その意味では、経営者自らがビジネス化に向けたスピードアップを強く意識して動くことが求めれている。

企業の“品格”を示すマイナンバーの安全性確保

 以上、「攻め」と「守り」の両面から、マイナンバー対応に向けて経営者がなすべきことについての勘所を述べてきた。最後にその大前提として、経営者が最も認識しておくべきことを記しておきたい。

 それは、法律上、マイナンバーに関する個人情報が「特定個人情報」に指定されていることだ。つまり、従来の「個人情報保護法」以上に厳格な取り扱い義務が課せられているのである。しかも、個人情報保護法では5000件以上の顧客データなどの個人情報を保有する事業者に適用されるが、マイナンバー法はすべての事業者が対象となっている。

 もし、適正な取り扱いが行われず、情報流出などの事故を起こしてしまえば、法的に罰せられるうえ、企業としての信用を大きく失墜してしまいかねない。その点を踏まえると、マイナンバーの取り扱いはトップダウンで取り組むべきテーマである。前述した「守り」の取り組みは、そうした認識に立ったものである。また、「攻め」の取り組みについてもトップダウンで進めることで、経営者の「覚悟」を明確に示すことが肝要だと考える。

 企業や組織が個人情報流出事故を起こした場合のダメージの大きさは、昨年(2014年)のベネッセや、今、まさに問題となっている日本年金機構のケースを見れば明らかだ。とくに日本年金機構の問題についてはマイナンバー制度とも関わることから、情報流出対策への強烈な“警鐘”と受け止めるべきである。

 マイナンバーの取り扱いにおける安全性の確保については、経営者にはぜひ自社の“品格”の問題として受け止め、万全の対策を講じてもらいたい。


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