7月1日付で代表執行役会長に就任した樋口泰行氏も新たなミッションに取り組むことになる。「日本はお客さまとのリレーションシップが大切な国」と話す樋口氏は今後、法人ユーザーやパートナーとの関係強化や、地方創生やオリンピックといった国家レベルの課題への貢献、そしてダイバーシティを中心とする人材育成に注力する。
平野氏が社長になるまでの4カ月で、樋口氏は平野氏と協力し、業務の引き継ぎと新経営体制構築などの準備を行ってきた。
「社長は、1年目は自分の人事ができないとよくいわれるが、そのために4カ月かけて新体制を準備してきた。今回選ばれた役員は全員平野が選んでいる。私もこれから全力で平野をサポートしていくつもりだ」(樋口氏)
また、この“準備期間”で平野氏は新たな視点や気付きを得ることができたという。その1つが、物事を正しく捉えるための方法だ。今までのマイクロソフトに足りなかったものは何か? という質問に対し、平野氏は「足りないものはなかった。むしろ、ありすぎた」と答えた。情報が多すぎたことで、逆に正しい判断ができなくなっていたのだ。
「情報がありすぎたことで、今までは新しいことに取り組む際に過去の方法を踏襲することが多かった。しかし、変革を起こすためにはそれではいけない。その取り組みがどのようなインパクトを与えるか、インパクトの大きさはどのくらいかをまず考え、そしてその目標を達成する最短経路として、プロセスを考えるという方法が必要になる」(平野氏)
プロセス重視での考え方から、インパクト重視のシンプルな考え方で物事を判断し、評価する。過去にとらわれないスタンスが、変革と挑戦を進める社内文化を醸成することにつながっていく。
「この7年間、樋口は“顔が見えるマイクロソフト”を掲げて会社の信頼性や存在感の定着に努めてきた。この点についてはさらに強化しつつ、日本ユーザーのニーズを本社に理解してもらうことや、本社での変革を日本に合った形で進めていくのが自分の役割だ」と平野氏は力強くアピールした。
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