前回から、マイナンバーの収集、保管、利用、提出というフローに沿って、中小企業および中小企業から委託を受けて個人番号を取り扱う税理士事務所のマイナンバー対応で何をしなければならないか、その具体的な内容を説明してきました。
以上の内容は、現在多くの税理士事務所が利用しているコンピュータシステムがオンプレミス型(事務所内にある)システムであることを前提にしています。そのために「マイナンバーを守る」ためにどうするか、が課題設定になってしまいます。
ここで、「マイナンバーを持たない」という選択肢を考えてみましょう。
具体的に、中小企業でも税理士事務所でも「マイナンバーを持たない」ようにするには、クラウドコンピューティングを活用したサービスの利用が考えられます。すでに「(自社では)マイナンバーを持たずに済む」ことをアピールするクラウドサービスも登場し始めています。
例えば、マイナンバーを持たないで済むサービスを利用する。個人番号を含む特定個人情報ファイルをダウンロードして事務所内に保管することをしなければ、先に挙げた「管理区域」に対する物理的安全管理措置は必要がなくなります。
それだけでも、税理士事務所の負担は軽減されます。ですが、できれば収集・保管・利用・提出というマイナンバーの利用プロセスで、中小企業と税理士事務所の連携がスムーズに行われ、かつ、プロセス全体を通して負荷を負うことなく安全管理が徹底できる、漏えいリスクをとことん軽減できる、そのようなクラウドサービスを選択したいものです。
そのための要件は、以下のようなものになります。
中小企業が個人番号の取り扱いを税理士事務所に委託し、年末調整業務を行う場合の理想形は、以上の要件を満たすクラウドサービスを選択することです。
(続く)
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