シトリックスが「モバイルワークスペース」を強く提唱する理由なぜ“攻め”の企業に必要か(3/3 ページ)

» 2015年07月29日 13時00分 公開
[末岡洋子ITmedia]
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「いつでもどこでも、どれでも」の働き方を、会社がきちんと提供するには……

 次に、モバイル環境での新たなユーザー体験を提供するとする「XenMobile」について、同社の営業推進本部プロダクトソリューション推進部マネージャーの山田晃嗣氏がこの1年のアップデートを紹介した。

photo 「Receiver経由で仮想Windowsに用意されたPowerPointでPPTデータを開いた、iPhoneから」というスタイルにてワイヤレスでプレゼンテーションを行うシトリックスの山田氏

 その1つがCitrix環境下で起動するメールアプリ「WorxMail」だ。「どのモバイルメールアプリよりも使いやすいアプリを目指した」と山田氏。上下のスワイプやタップ操作で、既読、削除、読み込みとスイスイと軽快に扱える操作性に注力した。パスワード保護されたZip圧縮ファイルにも対応し、アプリ内で中身も確認できる。

 「WorxNotes」で音声入力や写真の挿入、位置情報の記録などモバイルならではの特徴を生かしたメモを作成し、クラウドストレージ「ShareFile」へ保存。iPadからログオンして仮想Windowsデスクトップの画面で閲覧するといった、仮想環境のプラットフォームでOSもアプリもローカル作業とまったく変わらない、どころか安全性とどこでも同じデータを参照できることによる利便性を高めた環境を実現できることを強みに挙げた。

 そして、モバイル活用で重要となるデバイス管理(MDM)もある。デバイス紛失時はリモートワイプ機能によってXenMobileのアプリが消えていく様子を見せた。XenMobileは端末にデータを残さない仮想環境下で機能を実現する。従業員のBYODを認めている場合、「完全に消去」ではプライベートなデータも消えてしまう。だから(面倒なので)勝手に使ってしまおう、などと社員に思わせてしまうことが企業としてセキュリティリスクになり得る。XenMobileの環境ならば、BYODを許しつつ、重要なものはすべて仮想環境下のXenMobileで行う。万一時も、起点となるアプリだけ消せば情報漏えいのリスクはほぼなくせる──という使い方を提供できる。

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photo 移動中にWorxNoteよりiPhoneでメモを作成、帰社後に別のデバイスでそのまま作業を再開。こういったことを従業員はごく自然にできるよう。かつ管理側は仮にこれが業務データなど重要な情報であったとしても安全性を確保して環境を提供できる

 ここで重要となるのがクライアントアプリの「Receiver」だ。Citrixはモバイル体験をさらに洗練させるべく「X1プロジェクト」を展開する。「デバイスや画面サイズが変わっても、一貫した見た目で利用できるようにするもの」(竹内氏)と説明する。すでに第1弾がリリースされており、透過的にアクセスできるという。

 管理向け機能では、Synergy 2015の目玉となった「Workspace Cloud」もプッシュする。シトリックスが「ワークスペースの設計と構築の部分を提供」することで、システム稼働に要する作業と時間を短縮できるという考え方のサービスだ。仮想マシンの展開、データセンターやパブリッククラウドは客が自由に選べる。設計と管理の部分をWorkspace Cloudが担う仕組みで、「時間とコストを圧縮しながら効率的な運用と展開が可能になる」のがメリットだ。Workspace Cloudはグローバルで段階的な提供していく計画で、提供時期は未定だが日本でも提供予定という。

photo Workspace Cloudのサービスメニュー

 デモでは、Workspace Cloudの管理コンソールにアクセスし、事前に定義されているWorkspaceに対してユーザー名とメールアドレスを入力して登録して見せた。新規にWorkspaceを作成することも可能だ。

 最後はシトリックスのネットワーク製品について紹介した。シトリックスはここで、サーバー負荷分散の「NetScaler」と通信最適化の「CloudBridge」を揃える。XenServerの負荷分散などシトリックスのアプリケーションの性能を最大限にできるだけではなく、Microsoft Exchangeのアプリケーションデリバリーコントローラー(ADC)としても定評があるという。

 このようにインフラ、配信ネットワーク、アプリケーションなどワークスペースのコンポーネントを紹介しながら「シトリックスは“モバイルワークスペース”に全社をあげて取り組んでいる」と竹内氏は意気込む。同社はXenDesktop Platinum、XenMobile Enterpriseを包括した「Citrix WorkspaceSuite」を主力商材に据え、旧バージョンユーザーには同スイートへの移行促進を、そして“これから”の新規企業へ「モバイルワークスペース=ワークスタイル変革を“最短距離で確実に実現”できる方法」として訴求していく考えだ。

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