続いて対応の影響範囲を探るプロセスへ移る。利用中のシステムや個人事業主の数、社内での具体的なお金の流れなどをつかむためのアンケート調査をグループ全社に実施。不明点はプロジェクト内の担当者が人力で確認作業を行い、約1カ月かけてグループ内業務の概要を明らかにした。
これによって、グループ会社の「業務集約率」(サッポログループマネジメントへの各種業務の委託率)や「システム化率」にバラツキがあることが分かった。例えば、外食産業を手掛けるグループ企業は両者が低かった。事業形態上ある程度の差異はあるものだが、システム観点においては画一的なシステム対応策でグループ間展開するのは困難になる。同じアプローチでは現場での齟齬が生じ、実効性のある施策とはなりにくいからだ。
プロジェクトでは対応策を練り、次の方針を新たに打ち立てた。業務集約の有無とCOMPANYの導入状況に応じて、グループ各社を
の3つに分類し、個別に対応を進めるというものである。
サッポログループは現在(取材時の2015年6月現在)制度開始後の準備段階として、より詳細な方針と指針を取りまとめるスキームに入っている。パーテションで区切ったスペースをマイナンバーの管理区域として認めるか否か──といった実務的なことなどだ。
こういったグループとしての指針や方針、やることを固めたことで、2015年7月にはマイナンバー対応をグループ各社に引き継ぎ、横断プロジェクトチームは各社を側面支援する役割に移行するようだ。平行して、コンプライアンス部門との連携のもと、関連する各種規程の整備も進めている。
ここまで整備してきて分かった今後の課題とは。城戸氏はそもそもの「マイナンバー収集の煩雑さ」を挙げる。
収集の基本フローは、前述した業務システム COMPANYにより従業員からの自主申請で、と定めたものの、現行のシステムでは画像ファイルの添付方法が煩雑であり、本人確認のため仕組みをどうするかなどを課題としている(注:原則として、個人番号の収集には確実にその番号が本人のものかを確認するための「本人確認」を要する。例えば、番号通知カードと運転免許証などを組み合わせて行う)。本部などの従業員はともかく、システム化率の低い外食事業のグループ企業はパートタイマーやアルバイト従業員を2000〜3000名も抱えている。
「採用や労務管理を一任した上で、さらにマイナンバー収集や本人確認を店長に行わせるのは酷な話です。ですからそこは対策の必要があります」(城戸氏)
画像データを扱うためのシステムのカスタマイズとともに、マイナンバー収集業務のアウトソースなど、作業効率化のための案を幅広く検討するという。
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