確かにネットワークチームは多忙だと思います。オフィスフロアのLANからIP-PBX、無線LANから、インターネット接続や拠点とのWAN回線。昨今ではパブリッククラウドと接続といった業務もあるかもしれません。
サーバルームも担当していると思いますが、全体からするとごく一部でしょうし。それならばこの組織図のようにサーバやストレージ側ではなく、むしろオフィス側の組織にしたのも納得できます。
では欧米企業のIT部門はどうなっているか。多くは「Planning」「Architecture」「Engineering」「Operations」「Support」のように役割で部署を分けています。ですが、私は日本の組織構造に異を唱えるつもりはありません。組織改編の機会は毎年あるでしょうし、実業務が回りやすいようにした結果、現在の組織構造になっていると思うからです。
でも、自社のITがどのような環境であるか、どのように構成されているかを部署横断的に横串しで把握する企画担当者を数人立てることで、ベンダー側とのプロジェクトがグッと進めやすくなりますよと推奨します。BCP/DRであればサーバ・ストレージ・ネットワークでしょうし、シンクライアントを検討したいのであれば、クライアント関連まで見渡せている必要があります。業務系であればアプリ・クライアント・サーバーになるでしょう。
ともあれコストセンターですのでそれほど人数は置けませんし、課にすることもできず。先の組織図になぞると、情報システム部付になるのかもしれません。部付となるとマネージャー職の方が就きそうですが、そこはちょっと注意が必要です。ベンダーとやり合うための新しいテクノロジーと、自社の“今日の現場”を把握していなければならないからです。
その姿は「アーキテクト」の亜種とも言えましょうか。
日本のIT、特にインフラはSIベンダーに構築を任せるのが通例です。しかしながらコンサル契約やアウトソース契約をしなければ、そのプロは去ってしまいます。SIベンダーにテクノロジーで押し負けず、自社の実情をきちんと会話できる社内担当者を、実はベンダー側も求めているのです。
日本ヒューレット・パッカード株式会社 仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリスト。SANストレージの製品開発部門にてBCP/DRやデータベースバックアップに関するエンジニアリングを経験後、2006年より日本HPに入社。x86サーバー製品のプリセールス部門に所属し、WindowsやVMwareといったOS、仮想化レイヤーのソリューションアーキテクトを担当。2015年現在は、ハードウェアとソフトウェアの両方の知見を生かし、お客様の仮想化基盤やインフラ統合の導入プロジェクトをシステムデザインの視点から支援している。Microsoft MVPを5年連続、VMware vExpertを4年連続で個人受賞。
カバーエリアは、x86サーバー、仮想化基盤、インフラ統合(コンバージドインフラストラクチャ)、データセンターインフラ設計、サイジング、災害対策、Windows基盤、デスクトップ仮想化、シンクライアントソリューション
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