「セルフサービスBI」をうたう製品の特徴は、
という点にある。
特に最近は、情シス部門が握っているデータばかりが分析対象であるとは限らない。クラウドサービスを使えば、情シス部門に頼らずに顧客向けアンケートを実施したり、簡単なワークフローシステムを構築したりすることもできるようになった。
そこから得られたアドホックなデータを分析に取り入れ、次の戦略へスピーディに生かしたいといった要望は増える一方だ。いちいち情シス部門に“お伺い”を立てずに自由に活用できるツールがあるならぜひ取り入れたい……というのは、ユーザー側の自然な要求といえる。
このようなニーズを背景に、セルフサービスBIの市場を切り開いてきたのは、Qlik TechnologiesやTableau Softwareなど米国の新興企業だ。それぞれ「Qlik Sense(クリックセンス)」「Tableau(タブロー)」というセルフサービスBIツールを展開している。
これらの製品のセールスポイントは、手軽に使い始められるデスクトップアプリ、誰にでも分かりやすいグラフィカルなユーザーインタフェース、高速なデータ処理など、導入と利用が非常に簡単でスピーディに結果が得られる点にある。
このような新興企業の成功により、大手ベンダーも“手軽さをウリにするBIツール”という新たな市場の存在に気付き、同様のコンセプトを持つ製品をリリースしている。例えばSAPは2014年7月、「コードを記述する必要が全くない」セルフサービス方式のツールとして「SAP Lumira」の国内提供を始めた。
BIツールを販売するベンダーにとっては、セルフサービスBIと従来のBIをどのように売り分ければいいのか、判断に迷うこともあるだろう。
しかし、それは企業の情シス部門にとっても同じだ。堀内氏のもとにも「既に従来型のBIツールを使っているが、セルフサービスBIに変えるべきなのか?」という問い合わせが多く寄せられているそうだ。堀内氏は「セルフサービスBIを導入すべきか否かを検討するとき、ツールに目が行きすぎると、本質を見誤ることがある」と話す。(後編に続く)
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