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» 2015年08月27日 07時00分 UPDATE

日本型セキュリティの現実と理想:第5回 利便性vs安全性 交通安全に学ぶセキュリティの行方 (1/3)

技術革新は数々の恩恵とともに“負の側面”ももたらす。日本の情報セキュリティが進むべき方向を「交通安全」からみていこう。

[武田一城,ITmedia]

 弱肉強食のこの世界では生きとし生けるもの全てが、何らかの形での防御機能(もちろん捕食などのための攻撃機能も併せて持つ)を持っていなければ生き残れなかった。さまざまに変化する環境に上手に適応できた種だけが生き残る。人間は進化の過程で、その優れた頭脳を強化していく道を選択し、多くの技術革新や創意工夫を積み上げてきたことで、この世界で他の生物よりも優位にたってきたはずだ。

 しかし日本の情報セキュリティ環境は、そのような進化があまり見られないのが現状だ。今回は技術の革新と安全の担保について、モータリゼーションの活用拡大と交通安全の向上の例から探ることで、情報の活用拡大とセキュリティ向上の進むべき方向性を示してみたい。

技術革新による利便性の向上と安全性

 現代のITは、古くは火薬や活版印刷、18世紀半ばの産業革命などの技術革新や大きな発明などと同じ性質ものである。コンピュータの進化やスマートフォン、Webサービスの利用拡大により、全世界から瞬時に情報を収集したり、発信したりできる情報活用の環境が整った。しかし、その利便性が大きく向上した反面、それによって情報を盗まれるリスクも高まってしまうのだ。

 まれに「私には盗まれて困る情報などない」と言う方もいるが、その考えは間違っていると筆者は思う。その方の持っている金銭や財産も、各金融機関や国や自治体の持っている情報そのものになっているからだ。

 銀行口座から1000万円の数字が減れば同額の損失であるし、持っている土地や建物の登記情報がもし書き換えられてしまったとしたら、それ以上の大きな損失となる。既に世界にコンピュータで管理されていない情報などはほとんどないと言っても過言ではない。

 つまり、人間は既に有形無形のさまざまな形で情報活用という技術革新のメリットを享受している。現在は情報の時代だが、そもそも人類の歴史は技術革新の歴史そのものと言っていいだろう。そして技術革新の時には、その際に必ず発生する新たなリスク(事件、事故、など)も同時に解決してきた歴史でもある。

日本型セキュリティ 新しい技術革新は、その圧倒的な利便性で急速に世界に普及する。ここで言う利便性は、「全世界といつでも繋がる」環境による情報収集や発信。しかし、そのような右肩上がりの普及期には、安全性の検証が追いつかないことが多い。今回の場合では、一定以上の防御ノウハウが蓄積されるまで、全世界からいつでも攻撃される状況にもなっている
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