ネットバンキングを少しでも安全に使うための方法とは?萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(2/3 ページ)

» 2015年09月04日 07時00分 公開
[萩原栄幸ITmedia]

相談2:「(不正送金被害などで)個人はかなり補償されているだが、法人は2014年8月までは全く補償がなかった。どう注意すべきか?」

 相談者がご存じの通り、個人は預金者保護法の趣旨からネットバンキングの被害でも補償されるようになっている。これに関する文章では様々な減額対象となる行為や補償できない行為などが掲載されている。ただし正直に言えば、監督官庁は「お金持ちの金融機関がそのくらい補償したら?」と言わんばかりの状況だ。

 一部の外国人による詐欺行為や「ひょっとしたら補填してくれるかも?」という輩もいるが、虚偽申告はほぼ確実にバレる。なお、立証責任は金融機関側にあり、そのための人件費や信用などを総合的に考慮すると、申告内容がグレーなら、コストの観点で無条件に補償する金融機関があってもおかしくはないだろう。

 法人の場合でも同様の通達が出て、基本補償が行われるようにはなったが、金融機関が一斉に対応することはできなかった。監督官庁は企業(金融機関)として自主性に委ねたためだ。

 多くの銀行は1社につき1000万円〜5000万円まで補償するとし、その条件をかなり細かく設けている。補償内容も金融機関によって大きく異なるのが現状である。原則として預金者は法人であり、個人よりもセキュリティレベルは高い(はず)という前提がここにある。具体的には契約先の金融機関のWebサイトを確認して、状況によっては別の金融機関に変更した方が良いと思われる企業も少なくない。特に零細規模でも取扱額が大きな企業なら、条件をよく確認しておくことをお勧めする。

 例えば、1つの法人口座で最大補償額が1000万円という条件の場合、「うちは零細だけど振込金額が多くて、一度に3000万円ほどになる」という企業なら、上限額が3000万円の近傍の別の金融機関から振り込みをした方が安全という判断もできるだろう。

 具体的な注意事項は、2014年7月17日付の全銀協の通達「法人向けインターネットバンキングにおける預金等の不正な払戻しに関する補償の考え方について」にある。この注意事項を厳守することで、無条件に補償を受けられるはずだ。

補償に関する注意事項の一例(全銀協資料)

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