V-CUBE トランスレーターはモバイル端末やPCからコールセンターにいる通訳オペレーターにテレビ電話でつなぐことで、どこでも多言語対応の通訳サービスを受けることができる。対応言語は英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、タイ語、ロシア語、日本語の8言語だ。
本サービスの一番の特徴は「誰でもすぐに使える使い勝手の良さ」で、中村さんもそれが導入の一番の決め手になったという。実際にV-CUBE トランスレーターを使った、民宿「ペンション・カルナージュ」オーナーの渡瀬さんもシンプルなユーザーインタフェースに感心したと話す。「私でも使えるのか不安でしたが、このサービスはアプリを起動させ、相手の言語を選ぶだけですぐに通訳オペレーターを呼び出すことができるので、簡単に使えました」(渡瀬さん)
また、本サービスが使った分だけを支払う従量課金制であることも導入を決めるポイントになった。今までは通訳を行った時間に関係なく高いコストがかかっていたが、ピンポイントで通訳が必要な場合には、本サービスを使うことで大幅にコストを削減できる。今回のように複数の通訳スタッフが必要な場合はなおさらだ。
V-CUBE トランスレーター導入の効果として、渡瀬さんは宿泊する外国人選手に納得のいく「おもてなし」ができるようになったと笑顔で話す。
「大会期間中に泊まりに来る選手には試合で最高のパフォーマンスを発揮できるようお手伝いをしたいと思っていました。しかし、これまではどうしても細かい部分で意思疎通ができず、自分が本来してあげたい積極的な"おもてなし"ができないという葛藤がありました。例えば、食事の内容です。どのようなメニューがいいのか、どのくらいの量がいいのか、食べられないものはあるのか。そうした細かい要望をフォローできなければ「おもてなし」とはいえません。特に、スポーツ選手のコンディションを整えるには、食事が重要です。それが今回、この通訳サービスによって実現できるようになりました」(渡瀬さん)
渡瀬さんは宿の無線LANで接続しているが、音声が途切れたり、聞こえづらくなるといったトラブルもなく、また、通訳オペレータの顔を見て会話のやりとりができるので安心感があるという。今後の大会でもV-CUBE トランスレーターを活用していくそうだ。
増え続ける訪日外国人と5年後の東京オリンピックに向けて"日本流おもてなし"を実現するためには、スムーズなコミュニケーションが重要だ。機械による自動通訳の技術も発展していくと予想されるが、画面の向こうにいる人間が対応してくれるV-CUBE トランスレーターのようなアナログ型の通訳システムの普及もまた重要な"カギ"になるだろう。
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