サービスポータルからインフラハードウェアの設定も――HPが新概念

物理サーバなどの導入設定もクラウドに対応したポータルから可能にする「HPコンポーザブル・インフラストラクチャ」を掲げ、第一弾の取り組みを発表した。

» 2015年09月29日 16時41分 公開
[國谷武史ITmedia]

 日本ヒューレット・パッカードは9月29日、ワークロードに合わせたシステム基盤の導入設定をクラウド対応のポータルから行えるようにしていく「HPコンポーザブル・インフラストラクチャ」をいうコンセプトを発表した。これを実現するソフトウェアとハードウェア、サービスとして「HP OneView 2.0」「HP Helion CloudSystem 9.0」「HP ConvergedSystem 250-HC StoreVirtual」などの販売を開始している。

 新コンセプトは、これまでアプリケーションやデータベースなどのワークロードに応じて個別に導入、設定していたITインフラのリソースを、サービスポータルから一括して行えるようにすることで、ITサービスの迅速な展開やITリソース全体の柔軟性の向上を実現するという。

「コンポーザブル・インフラストラクチャ」のイメージ

 今回はその第一段として、ハードウェア統合管理のOneViewと、クラウドサービス基盤ソフトウェアのHelion CloudSystemを「Unified API」を介して連携させ、OneViewで予め用意したHPのサーバに対し、Helion CloudSystemからミドルウェアを含むワークロードの導入設定をできるようにした。

 今後は、多様なワークロードへの対応や運用管理を含む自動化の推進、大規模環境へのスケールアウトなども可能にすることで、2020年頃には「The Machine」と呼ぶ仕組みに発展させていく計画だという。

 HPサーバー製品統括本部長の橘一徳氏によれば、これまで同社のハードウェア戦略では用途に応じて最適なワークロードのシステムを提供してきたが、今後は「コンポーザブル・インフラストラクチャ」を合わせて展開する。ビジネスニーズに応じてITリソースには多様性や柔軟性、迅速性など様々な要件があり、ITシステム全体、また、個別システムのそれぞれの観点から最適化した仕組みを提供していく必要性があると述べた。

 この日の発表会では営業部門向けのデータベースシステムを導入するというシナリオでデモが披露された。まずOneViewからProLiant Serverの構成を作成し、次にHelion CloudSystemの管理者ポータルからOneViewで設定したProLiant Serverの構成を呼び出し、OSやMySQLを追加してデータベースシステムのカタログを作成。営業部向けの利用者ポータルからこのカタログを選択して、利用を始めるという流れだ。

Helion CloudSystemのポータルからOneViewで作成したインフラ構成にOSヤMySQLを追加するデモ

 新コンセプトはまだ初期段階で、Helion CloudSystemからOneViewを介して呼び出せるシステムインフラの製品はHPだけとなっている。エンタープライズサーバービジネス開発部長の中井大士氏によれば、将来的にはCPUやメモリといった単位でのきめ細かい設定をできるようにするほか、他社ハードウェアに対応する可能性もあり得るとした。また、Unified APIを利用してプロビジョニングツールのChefからもOneViewで設定したインフラ構成を利用できるようにしており、近日中にコンテナ型仮想化基盤ソフトのDockerや運用管理のPuppet、構成管理のAnsibleといったツールからも利用できるようにするという。

新コンセプトの第一段ではHP製品での物理/仮想インフラ、クラウドの連携を進める

 同社では12月以降、こうしたツール群を利用して「コンポーザブル・インフラストラクチャ」コンセプトによるシステム導入を可能にするための支援サービスも開始する。

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