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» 2015年10月13日 07時01分 公開

感覚器としての「IoTとソーシャルメディア」

 私たちの日常は、さまざまなモノに囲まれ、それらのモノとの関わりを通して活動しています。それらのモノにセンサーと通信機能を組み込み、データとして捉える仕組みが「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」です。

 スマートフォンには、位置情報を取得するGPSや体の動きや動作を取得するさまざまなセンサーが組み込まれています。私たちがそれを持ち歩き、使用することで、日常の生活や活動がデータ化されます。また、ウェアラブルは、体に密着し、脈拍や発汗、体温などの身体の状態をデータ化します。

 自動車には既に100を超えるセンサーが組み込まれています。住宅や家電製品、空調設備や照明器具などの「モノ」にもセンサーが組み込まれ、人々のさまざまな行動がデータ化される時代を迎えています。

 つまり、それらのあらゆるモノがインターネットにつながり、取得したさまざまなデータを送り出す仕組みが同時に作られているのです。こういった仕組み自体をまとめてIoT(Internet of Things)と呼んでいます。

 私たちは、IoT機能を備えたデバイスであるスマートフォンやタブレットで、FacebookLINEなどのソーシャルメディアを使い、写真や動画、自分の居場所の情報とともに、流行や話題、製品やサービスの評判について会話を交わしています。また「友達になる」や「フォローする」ことで、人と人とのつながり(ソーシャルグラフ)についての情報をつくり、インターネットに送り出しています。

 ソーシャルメディアは、スマートフォンやタブレットだけではなく、自動車や住宅、家電製品ともつながり、持ち主に必要な情報を送り出し、それらを遠隔から操作できるようにもなりました。また、自動車会社やさまざまなサービス提供会社ともつながり、自動車の点検や整備に関するお知らせを受け取ったり、お勧めのレストランに案内したりするといった便宜をもたらしてくれます。

 さらに、自動車や家電製品、工場の設備などの動作や使用状況は、IoT機能によってデータとしてメーカーに送られ、分析して保守点検のタイミングを知らせたり、製品開発に生かしたりするために使われます。また、こうした機器類の多くはそこに組み込まれたソフトウェアによって制御されています。そのソフトウェアを遠隔から入れ替えることで、性能を向上させたり、機能を追加したりできるようになります。その一方で、そこでやりとりされるデータは、マーケティングのために使われることにもなります。

 インターネットにつながっているデバイスは、2009年に約25億個だったものが2020年には約300〜500億個に急増すると予想されています。このように見ていくと、IoTとソーシャルメディアは「現実世界をデータ化」する巨大なプラットフォームになろうとしている――といえるのです。

神経としての「インターネット」

 モノに組み込まれたセンサーは、位置や方角、気圧の変化や活動量などの物理的なデータを計測します(フィジカルセンシング:Physical Sensing)。また、ソーシャルメディアでのやりとりやどこへ行ったかなどの社会的行動もデータとして取得されます(ソーシャルセンシング:Social Sensing)。これらのデータは、インターネットを介して、クラウドに送られます。クラウドには、送られてきたデータを蓄積・分析・活用するためのサービスが備わっています。そのサービスで処理された結果は、インターネットを介して、再び現実世界にフィードバックされます。

 インターネットは、身近なモノ同士やモノとスマートフォンをつなぐBluetoothNFC(Near Field Communication)などの近接通信技術、携帯電話に使われるLTE(Long Term Evolution)などのモバイル通信技術に支えられ、常にどこからでも通信できる環境が整いつつあります。そうなるとインターネットは、特に意識されることもない、空気のような存在となり、同時に不可欠な要素として日常の中に定着していきます。

 2020年頃には、5G(第5世代)モバイル通信が普及していることでしょう。その通信速度は、10Gバイトですから、現行LTEの最高速度150Gバイトの約70倍になります。IoT機能によって通信できるさまざまなモノが、互いに大量にデータをやりとりできるコネクテッド(つながっている)社会が実現することになるでしょう。

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