実はそのMacのトラブルの最中、仕事で使っているWindows PCも突然ネットワークにつながらなくなる、というトラブルが起きてしまいました。無線LANにもモバイルブロードバンドにもつながらないので、全く仕事になりません。しかも、万一のときのためのMacも復元中――絶体絶命です。
しかも、WindowsではMacにおけるTimeMachineのような「丸ごとバックアップ」を一切取っていませんでした。というのも、仕事のマシンについては重要な書類は全てクラウドにあり、なにかが起きたら初期化してイチから環境を作り直せばいいや、と軽く考えていたからです。トラブルシューティングに時間をかけるくらいなら、完全に初期化した方が速い、そう考えました。
そこで、まずはPCを購入したときに作った「リカバリーUSB」を使ってWindows 8.1ベースの環境を復元。その後Windows 10へアップグレードし、必要なアプリをインストールします。書類は全てDropbox、OneDrive、Evernoteにありますので、あとはこれらを「同期」するだけでOKです。結果、WindowsのほうはMacよりも先に復元できてしまいました(それでも6時間くらいはかかりましたが……)。
今回痛感したのは、メインのマシンほど「クラウド」を頼るべきということ。Dropboxなどに全てのファイルを入れておけば、PCが壊れても単に復元するだけで復旧が可能です。バックアップが常にクラウドにあることで、安心して初期化ができました。
とはいえ、課題が二つあります。一つは音楽ファイル、動画ファイル、写真ファイルなど、容量の大きなもの。これらはクラウドに置くには大き過ぎます。そのため、私はメインのPCではなく、別のマシンに保管するようにしています。知識のある方ならば、NAS(ネットワーク上に置くストレージ)などもいいでしょう。
もう一つの課題は、ビジネスで利用する場合。クラウドを利用するためには、社内でのルール作りが必要です。個人的にはリスクはあれど、メリットも大きいので、ビジネス向けクラウドストレージサービスをきっちり使うのであれば、かなりリスクは減らせると思います。小さなオフィスならファイルサーバの代わりにもなるでしょう。例えばDropbox Proなどは万が一PCを紛失しても、ローカルファイルを遠隔削除することも可能です。
今回はバックアップをきっちり行えていたので、なんとか元の環境に戻すことができました。皆さんの環境も、いつ壊れてしまうか分かりません。バックアップは重要、そしてもっと重要なのは復元できるかということ。ぜひ、本当のトラブルが起きる前に予行演習をしておいてくださいね。
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。みなさんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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