変革に挑むリーダーの支えが生きがい、“出会い系コンサルタント”の素顔――國生恭子さん「コンサルタント」という生き方(3/4 ページ)

» 2015年11月04日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

“名乗ったもの勝ち”の世界

 國生さんは特にソーシャル系の案件を担当したことはなかったが、学生のときにテキストサイトを運営し、大学では専攻していた社会学の卒論として、「2ちゃんねる」などのオンライン文化について9万字の論文を書いた経験があった。

 「学生のときは本当にネットに入り浸っていました。第二の故郷みたいなものですよ。なのでこのビジネスは私向きだ! と思いました(笑)。コンサルタントの世界はアイデア勝負だし、相応の覚悟は必要ですが、専門家を名乗ったもの勝ちの世界でもあります」(國生さん)

 お題を決めてWeb上の掲示板を使って本音をぶつけ合う――。そんな「2ちゃんねる」のようなシステムを“現場の人の意見を吸い上げる”集合知の仕組みとして提案。さまざまな経営者が、やってみたいと問い合わせてきたそうだ。そのシステム自体は、IBMが全世界の社員の意見を聞くために2003年から使っているものだが、経営者の要望や組織の状況はそれぞれ異なる。そこで、彼らの要望別に掲示板の設計・分析手法を確立し、場を盛り上げるためのファシリテーターも自ら行ったという。

photo Web上のフォーラム(掲示板)で意見を交わし、会社のビジョンなどを深めていく取り組みは、IBMが2000年代前半から行っていたものだという

“出会い系コンサルタント”という生き方

photo 「コンサルタントは職業ではなく生き方」だと話す國生さん。クライアントと過ごす時間そのものが価値だという

 その他、社内情報共有の仕組みの立案や、海外拠点での企業理念浸透、といったプロジェクトを歴任してきた。テーマが何であれ、組織に流れる感情やコミュニケーションに主眼を置いた提案が得意だという。これまでメインで担当した案件は、必ず次の案件へとつながったそうだ。それを実現するのは当然、簡単な話ではない。

 「そもそもコンサルタントは難しい職業だと思うんです。クライアントもその業務の専門家なので、彼らにお金を払っていただけるほどの価値を提供するのは本当に大変なこと。普通にできることでは価値になりません。Goodではダメ。Extraordinaryまでいかないと」(國生さん)

 そんな彼女が提供できる価値だと自信を持つのは“クライアントと過ごす時間”だという。パーソナリティーそのもの、そして生きている時間全てが価値になると話す國生さん。それ故に「コンサルタントは職業ではなく生き方」だと話す。

 「一緒に案件を進めるお客さまは、新しいことをやりたいという強い気持ちを思っているんです。多くの場合、変革は反発を受けます。それでも進めたいからには、何か必ず理由がある。その思いを共有して、一緒に困難な道に進んでいく心強い味方だと思っていただけたらうれしいです。会ってホッとするような、思わず弱音を打ち明けていただけるような関係性になれるといいですね。

 お客さまにもコンサルタントにもさまざまなタイプがあり、相性があると思います。私の場合、「困難に一緒に立ち向かって欲しい」と思っていただけるお客さまとの出会いから全てが始まります。だから私は“出会い系コンサルタント”と名乗っているんです(笑)」(國生さん)

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