新米パパは、苦境のプロジェクトを救う“レスキュー隊”――加藤真規さん「プロジェクトマネジャー」の極意(2)(2/3 ページ)

» 2015年11月16日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

トラブルがあっても、やり遂げれば“昔話”に

 今でこそ「大小含めて4回ほど、プロジェクトのレスキューにアサインされたことがある」という加藤さんだが、自身がレスキューされた経験もあるそうだ。

 「30歳前に配属になったプロジェクトの話ですが、クライアントの要件が定まりきっていない中でスタートし、後に要件が膨らんでトラブルとなってしまった案件がありました。プロジェクトを始めるかどうか、というのはビジネス上の判断もあったので仕方がなかった面もありますが、現場で動けることもあったのではないかと後悔したんです」(加藤さん)

 プロジェクトは“炎上”し、「そのころが一番つらい日々だった」ものの、厳しい状況の中でプロジェクトをやり遂げたことは自信につながったという。責務を全うしたことに対して感謝してくれた人もいたためだ。

 「いろいろな意味で大変なプロジェクトでしたが、やり遂げたことが評価され、次のビジネスにつながりました。最後までやりきり、うまくシステムが稼働すればトラブルもいずれは笑い話になります。苦楽を共にすることで結束や信頼が生まれますし、何より思い出に残ります。当時のメンバーやお客さんで集まるといつもその話になるんです(笑)」(加藤さん)

 ちなみに、このプロジェクトで加藤さんを助けたメンバーが今の上司という。このほかにも、トラブルを通じてできた人のつながりがあるそうだ。「もちろん、会社として望ましいことではないんですけどね」と加藤さんは笑う。

途中参加の“カベ”を突破するコツ

 加藤さんがプロジェクトのレスキューに入るときは、チームリーダーとして入ることが多く、現状の進捗を把握し、ゴールまでの最短距離を考えることから始めるそうだ。ものによっては“1カ月で立て直してほしい”と依頼されることもあるという。

 「もともと不可能なスケジュールでプロジェクトを始めてしまったり、チームがバラバラだったり。外から見ると“なんでこんなに遅いの?”と思われてクレームを受けるケースが多いです」(加藤さん)

 プロジェクトの途中からリーダーとして加わるのは、言うほど簡単なことではない。仕様書に赤入れをしたところ「そんな変更ができるわけがない」と現場から猛反発を受けたこともあるという。

 「外から支援するタイプの人もいますが、現場のことを分かっていないと思われることもあります。自分はチームの中に入っていくタイプですね。一緒に作業を行うことで信頼してもらう。チームを機能させるには、メンバーの意識を同じ方向に向けることが必要不可欠です。そのためには、自分が“仲間”だと認めてもらうことが重要だと思っています」(加藤さん)

 つらいことも多い仕事だが、クライアントの対応がだんだんと変わり、最後には感謝されること――これがプロジェクトレスキューのモチベーションとなっている。

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