企業ユーザーにとってWindows 10のアップグレードはやや注意が必要だ。現状でTH2は、Windows Updateを通じて配布される。このため、Windows Server Update Service(WSUS)やIntuneなどでWindows OSのアップデートを管理している企業以外(個人がWindows Updateなどを行っている場合)は、IT管理者の確認が済まないうちに、ユーザーがTH2へアップグレードしてしまう可能性がある。
もちろんTH1とTH2は、Windows 10としての互換性を保っているため、ほとんどの場合において問題はないだろう。しかし、例外的に問題が生じる可能性はゼロではないので、企業ではユーザーによるアップグレードが行わないように計画的な対応が求められる。
Microsoftもこのような状況を認識しているため、Windows Updateによるアップグレードを延期している。また、企業向けのWindows 10 Enterpriseではコンシューマー向けのWindows 10 Proとは異なり、すぐにアップグレードを適応するのではなく、3〜9週間遅れてアップグレードを適応するようにしていく方針だ。
さらに「Windows Update for Business(WUB)」という、企業向けのWindows Updateも提供される予定だ。WUBでは企業のクライアントPCを複数のリング(グループ)に設定しておき、グループごとに異なるスケジュールでアップグレードを適応できるようになる。
先に述べたようにWindows 10は、今後も年数回の大幅なアップグレードが計画されている。これまで企業はWindowsの新バージョンリリースから数年は状況を見つつ、社内のクライアントPC(ハードウェア)の入れ替え時期と合わせてOSを刷新していた。Windows 10からは従来の方法でなく、適宜アップグレードが行われていく。企業でも最新のアップグレードの状況を確認しながら、半年以内にアップグレードを適応していくことが求められていく。
今後のWindows OSはこのような仕組みになると考え方を改め、OSのアップグレードに追従していくことになるだろう。もしアップグレードをしないなら、「Windows Enterprise LTSB(Long Term Servicing Branch)」を導入していくという方法もある。
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