Windows 10の新機能 「実は日本で開発も」とマイクロソフト

米国時間11月13日にWindows 10初のメジャーアップデートがリリースされたが、新機能や改善には日本での開発も多数反映されているという。

» 2015年11月18日 20時12分 公開
[國谷武史ITmedia]

 日本マイクロソフトは11月18日、13日にリリースしたWindows 10初のメジャーアップデート(開発コードネーム「Threshold 2」)での新機能や改善点などをメディア向けに説明した(関連記事)。こうした取り組みではMicrosoftの日本での開発成果も多数反映されているという。

Threshold 2での主なアップデート内容(マイクロソフト資料)

 Threshold 2ではパーソナルアシスタント「Cortana」の日本語対応やWebブラウザ「Microsoft Edge」の機能強化、新アプリ「Sway」やSkypeビデオの追加、日本語フォントの改善などが図られている。説明会では法人ユーザー向けに関する機能やサービスの動向も紹介された。

Windows本部長の三上智子氏

 同社Windows本部の三上智子本部長によると、Windows 10は7月29日の最初のリリース(開発コードネーム「Threshold 1」)から約3カ月間で約1億1000万台のPCやタブレット、スマートフォンなどに導入された。業務用端末でも約1200万台が稼働しているという。Threshold 2のリリースまでに1000万件近いフィードバックがユーザーから寄せられ、それらの多くを反映させたという。

 特に法人ユーザー向けの取り組みではクラウドサービスを活用したアップデート、業務アプリケーションやデバイスの管理、アクセス/認証機能の強化を挙げている。

法人ユーザー向けの施策(マイクロソフト資料)

 セキュリティパッチなどを提供するための新たなサービスとなる「Windows Update for Business」では複数の配信スケジュールや適用のタイミングを複数のグループ単位(「リング」と呼ぶ)で設定できるほか、今後はSystem Centerなどのシステム管理基盤との統合化を予定しているという。マルチデバイス環境で業務アプリや一般公開されているビジネスアプリを配信、管理できる「Windows Store for Business(ビジネス向け Windows ストア)」もリリースされた。

Windows Update for Businessの動向(マイクロソフト資料)

 また、Windows 10ではファイルやユーザー単位で情報を暗号化できる「Enterprise Data Protection」機能の搭載も予定されているが、現在は開発者向けの公開をいったん停止中。三上氏は、「近日中にWindows Insiderでの提供を再開し、企業でも検証やテストを継続できるようにしたい」と説明している。

Windowsサービス化での開発

 同社は、Windows 10以降のOSに関するアップデートや改良をサービス化する「Windows as a Service」というコンセプトを採用した。これについてマイクロソフト ディベロップメントの安達理社長は、次のように説明した。

マイクロソフト ディベロップメント社長の安達理氏

 「以前のWindowsは原則して3年ごとにメジャーバージョンアップしていた。3年の間は新機能を開発してひたすら蓄積する。リリース時にパッケージ化やDVD化をして店舗などに流通させ、ユーザーが購入し、インストール作業を完了して、ようやく使っていただける状態になる。しかしインターネットサービスは、開発成果をデータセンターにデプロイし、ユーザーがアクセスすれば、すぐに使っていただける。Windowsのサービス化とはOSレベルでインターネットサービスのような仕組みを実現することだ」

 Windows as a Service化に向けて同社は世界各地に開発拠点を展開しているといい、日本も主要拠点に位置付けて、WindowsのほかにOfficeや検索のBingの開発を担当している。従来の役割は製品のローカライズだったが、現在は日本のアイデアを機能開発してグローバルに展開することが中心だという。

 Threshold 2では日本向けの取り組みとして、フォントや入力の改善を図ったほか、Cortanaに日本での開発成果を反映させた。

 フォント面は、Threshold 1では複雑な漢字を表示すると文字がつぶれてしまうことがあったが、Threshold 2では細部の輪郭まで明瞭化させ、漢字とひらがな、カタカナ表示の文字並びのバランスを均等化している。

Bingを使ったクラウド型の入力文字の予測変換

 日本語入力ではBingを利用したクラウド型予測変換が追加され、流行語や業界の専門用語などを変換予測の候補へ取り込めるようになった。端末とBingサービス間の通信は暗号化され、匿名ユーザーとして情報を処理する。なお、ユーザーのプライバシーに配慮してデフォルトでは無効化されており、クラウド型予測変換を利用するには設定を変更する必要がある。

 日本語に対応したCortanaは、音声認識で簡単な会話を交わしたり、日本のユーザーが求める情報を優先的に提供したりできる。説明会では音声入力によるデモも披露された。認識にやや時間がかかるシーンもあったが、Cortanaに「冗談を言って」と話しかけると、「ちょいとそこのおねぇさん! 今日もイキだね〜。」「帰りです!」と返すなど、お茶目な反応を見せた。

最新版Cortanaは日本語の冗談(?)も話せるとのこと

 安達氏によれば、こうしたコミュニケーションは日本で開発され、Threshold 2に反映されたとのこと。また、Cortanaに最新の地震情報の検索を指示すると通知する機能も新たに盛り込まれ、これも災害大国という日本市場での要望を国内で開発し、Cortanaに加えているという。同氏は、Cortanaが日本語に初めて対応した段階にあり、「これからの成長のためにユーザーにはとにかく使っていただき、フィードバックをたくさん寄せてほしい」と呼び掛けた。

ついにやってきた「Windows 10」、企業はどうすればいいの?

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