第6回 オブジェクトストレージを解読する その特徴とは?クラウド社会とデータ永久保存時代の歩き方(2/2 ページ)

» 2015年12月02日 07時30分 公開
前のページへ 1|2       

特徴を比較してみると

 オブジェクト、ファイル、ブロックそれぞれの特徴をまとめてみると以下の表のようになります。いずれも得意、不得意があり、データの利用方法、データを使うアプリケーションによっても使い道が変わってきます。

オブジェクトストレージ オブジェクト、ファイル、ブロックを比較すると……

メリットは5つ

 最後にオブジェクトストレージがユーザーに提供するメリットを挙げてみます。

拡張性

 フラットなアドレススペースとシェアード・ナッシング・クラスタによって、理論的には制限なく容量を拡張(数100ぺタバイトクラス)していけます。また、クラスタが増えれば増えるだけ、パフォーマンスも増加できます。

可用性

 データの堅牢性(データ損失リスクの低減)は、レプリケーション(複数コピーの作成)またはイレイジャーコーディング(エラー訂正コード)によって容易に高められます。Geo-dispersion(地理的に離れた場所に分散配置する手法)ベースのディザスタリカバリ、やシンプルなHTTPにより、場所や時間、デバイスに依存することなく、データにアクセスできます。

安全性(セキュリティ)

 アクセスコントロールリスト(ACL)を利用したユーザー/アカウントアクセスキーベースのコンテンツアクセス権を設定できるほか、マルチテナント志向の設計暗号化も可能です。

効率性

 容量効率が高く、IT業界標準プラットフォームを使用していることで、メタデータの拡張性が高く、ストレージポリシーの自動化も容易です。 拡張が簡単というわけです。

簡素性(シンプル)

 データオブジェクトはHTTP/REST APIでアクセスできるため、LUNs(論理ユニット番号) やファイルシステムといった概念を伴うことなく、シンプルに管理できます。アプリケーション、クライアントOSの依存もありません。


 次回は、オブジェクトストレージが適している具体的な分野についてご紹介します。

著者:井上陽治(いのうえ・ようじ)

日本ヒューレット・パッカード株式会社 ストレージテクノロジーエバンジェリスト。ストレージ技術の最先端を研究、開発を推進。IT業界でハード設計10年、HPでテープストレージスペシャリストを15年経験したのち、現在SDS(Software Defined Storage)スペシャリスト。次世代ストレージ基盤、特にSDSや大容量アーカイブの提案を行う。テープストレージ、LTFS 関連技術に精通し、JEITAのテープストレージ専門委員会副会長を務める。大容量データの長期保管が必要な放送 映像業界、学術研究分野の知識も豊富に有する。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ