第35回 “クラウド”ってどうなの? ここヘン式2016年の予想と抱負テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」(2/2 ページ)

» 2016年01月08日 07時30分 公開
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2016年のITインフラにはどんなトピックが!?

 ITインフラではクラウド。アプリ寄りではDevOpsやマイナンバーなどで賑わった2015年でしたが、今年はどうなるでしょう?

 ここ変のような“あるあるネタ”まで発展するかは分かりませんが、1つは「IoT」(Internet of Things)かなと思います。ただし、クラウド同様に食傷気味な「データ収集」「ビッグデータ分析」ではありません。分析したデータをどのようにビジネス化(事業化)するかというアイデアはまだまだこれからですし、ヒト・モノから街ナカにまで大量設置されるデバイス(センサー)のメンテナンスを誰が診るのか、という地味に面倒な問題も今後顕在化していく気がします。

 テクノロジーとしては引き続き「Software-Defined」でしょうか。ただし、これまでのように機能や性能といった黎明期にありがちな目立った特長よりも、本格採用に向けてコストや信頼性についてもしっかりと吟味されそうな気配をひしひしと感じます。一気に行き過ぎるのではなく、折衷案を模索したいという意見です。

 具体的には、これまで「ほぼすべてをハードウェアで処理」「ほぼすべてをソフトウェアで処理」の二択でしたが、欧米ではその“良いトコ取り”が製品化され始めています。例えば、RAIDを組むならソフトウェアRAIDよりもハードウェアRAIDの方が、性能が高くで動作も安定していますよね? では、Software-Definedに対応したハードウェアRAIDチップが製品化されたらどうでしょう。“餅は餅屋”、適材適所といえるベストな選択です。

 誤解しがちですが、ハードウェアに完全回帰するわけではありません。Software-Definedの名のとおり、主役は依然としてソフトウェアです。

2016年の“ここ変”抱負

 最後に、本連載の今年の抱負で締めたいと思います。

 前回総括したとおり、昨年はタイトルにもある「ITインフラ」に絞り過ぎました。このため時事ネタ・運用ネタに乏しかったのですが、情シスの現場では少し前から“フルスタックエンジニア”が求められていますし、ネタの幅を広げていきたいところです。私の引き出しも残り少なってきたことですし(汗)。

 とは言っても、ゼネラリストとスペシャリストを兼ねるのは難しいように、筆者一人の知識と経験には限界があるのも事実。ですので、今後は私の実体験だけではなく、同僚のエバンジェリスト陣やグローバル企業の情シス部門に在籍する友人から聞いた話なども増やしていこうと思います。

 私の勤めるHewlett Packard Enterpriseという企業は、サーバ・ストレージ・ネットワーク・セキュリティ・ソフトウェアなどの製品提供から、コンサルティング・インフラ構築・アプリ開発・アウトソースといった情シス担当者とともにするサービスも行う総合ベンダーです。ネタはまだまだありそうです。

 また、もうすぐ就活の時期ということで、以前好評だった「プリセールス」という仕事についても、もう少しご紹介したいと考えています。

 明確な答えまで導けないことも多々ありますが、引き続き楽しみにしていただければ幸いです。本年もどうぞよろしくお願いします。

ここヘン 周りから聞いたネタも増やしつつ、視野を広げていきたいと思います

小川大地(おがわ・だいち)

日本ヒューレット・パッカード株式会社 仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリスト。SANストレージの製品開発部門にてBCP/DRやデータベースバックアップに関するエンジニアリングを経験後、2006年より日本HPに入社。x86サーバー製品のプリセールス部門に所属し、WindowsやVMwareといったOS、仮想化レイヤーのソリューションアーキテクトを担当。2015年現在は、ハードウェアとソフトウェアの両方の知見を生かし、お客様の仮想化基盤やインフラ統合の導入プロジェクトをシステムデザインの視点から支援している。Microsoft MVPを5年連続、VMware vExpertを4年連続で個人受賞。

カバーエリアは、x86サーバー、仮想化基盤、インフラ統合(コンバージドインフラストラクチャ)、データセンターインフラ設計、サイジング、災害対策、Windows基盤、デスクトップ仮想化、シンクライアントソリューション


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