2016年のクラウド市場はどうなるのかWeekly Memo(2/2 ページ)

» 2016年01月12日 17時00分 公開
[松岡功ITmedia]
前のページへ 1|2       

マルチクラウドやDR環境へのニーズが拡大

 3つ目は、GIOと他のクラウドサービスの併用比率を聞いたものである(図3)。このグラフでまず注目されるのは、一番下の「他のサービスは利用していない」という回答が27%に上ること。逆に言うと、73%の顧客は他のクラウドサービスを併用しているという実態だ。これはマルチクラウド化がかなり進んでいることを示している。

Weekly 図3:IIJ GIOと他のクラウドサービスの併用比率(同)

 併用比率が高いのは、Amazon Web Services(AWS)、グーグル、さくらインターネット、マイクロソフトのクラウドサービスである。神谷氏によると、これら4社のサービスの併用比率は2年前の調査と比較しても伸び率が高いという。中でも、あらためてAWSの浸透ぶりが見て取れる結果でもある。

 4つ目は、今後のクラウド利用の拡大方向について聞いたものである(図4)。グラフを見ると6つの用途に分散しているようだが、神谷氏は2年前の調査と比較して増加率の高い次の2つの用途に注目しているという。

Weekly 図4:今後のクラウド利用の拡大方向(同)

 1つは「ハイブリッド/マルチクラウド」。ハイブリッド利用はプライベートクラウドを含めたオンプレミス環境とGIOの連携を指す。また、マルチクラウドは先述したようにGIOと他のクラウドサービスの併用を意味している。そして、もう1つは「バックアップ/DR(ディザスタリカバリ)環境」。神谷氏によると、最近では特に盤石な事業継続の観点から地域が異なるデータセンターにおいてシステムを二重化して持つ本格的なDR環境のニーズが非常に高まっているという。

 このようにIIJのGIO顧客利用動向調査からも見られるように、クラウド利用はさらに多様化し、あらゆる領域へ浸透していくのは間違いない。果たして、どのように多様化し、浸透していくのか。クラウドは今ホットな話題となっているIoTやAIの活用を支えるIT基盤ともなるだけに、筆者は2016年もクラウド利用の進展と課題に注目していきたい。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ