JP1の最新版「V11」リリース、SaaS型サービスを提供開始障害発生時の分析を支援する新製品も

日立製作所がJP1の最新版「Version 11」をリリース。障害発生時の分析に特化した新製品がラインアップに加わったほか、SaaS版提供、製品統合、GUIの強化など、より使いやすく、そして導入しやすいツールへと進化している。

» 2016年01月12日 13時30分 公開
[池田憲弘ITmedia]

 日立製作所は1月12日、統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」の最新バージョン「JP1 Version 11」を発表した。翌1月13日に販売を開始する。新バージョンでは、障害発生時の分析に特化した新製品「JP1/Operations Analytics」をラインアップに追加し、一部製品においてSaaS型の提供を始める。

 JP1は、システムの統合監視からオペレーション手順の共有化/標準化、運用作業の自動化までを支援するソフトウェア。ビジネスの変化に即応できるツールを目指し、今回リリースしたVersion 11では、従来パッケージソフトウェアだった資産管理ツール「JP1/IT Desktop Management 2」やファイル転送ツール「JP1/Data Highway」のSaaS版(JP1 SaaS)をラインアップに加えた。

 同社は、2015年に行われた「JP1の発売20周年イベント」で“JP1 as a Service”というキーワードを挙げており、今後も「投資コストや運用管理コストの軽減という観点でニーズが高い分野から、SaaS形態の製品を増やしていく」(日立製作所)という。

課題解決を“自動化”する「JP1/OA」が登場

 またVersion 11では新たに、システムの状況を把握し、障害時の分析を支援する新製品「JP1/Operations Analytics(JP1/OA)」が登場した。

 近年では、オンプレミスとクラウドのハイブリッド環境や、プライベートクラウドとパブリッククラウドを複数使い分けて運用管理を行う例も出てきており、全体の状況把握や障害時の原因調査、復旧が困難を極めるケースも少なくない。

 JP1/OAはサーバやストレージ、ネットワークといったシステム全体の構成要素を自動収集し、業務システムとの相関関係を分かりやすく可視化するほか、障害時には、構成やシステムへの影響といった情報を、自動で切り出して提示。調査を始める初動のアクションが素早く行えるようになるという。

photo JP1/Operations Analyticsのダッシュボード画面例。一目で全体を把握できるよう、分かりやすいUIを採用しており、HTML5にも対応している
photo ボトルネックの分析画面。必要な情報だけを自動で抽出するため、分析が容易になるという

 JP1/OAについては、今後機械学習やビッグデータとの連携で障害対処の高度化および自動化を目指していくという。「人の経験や知見に加え、リアルタイムのデータ分析に基づく自律的な制御を行う方向性で開発を進めていく」(日立製作所)

機能強化とともに、パラメータやライセンス体系を見直し

 このほかにも、ジョブ管理ツール「JP1/Automatic Job Management System 3」がWeb GUI(IE10、IE11およびFirefox ESR)やREST APIに対応するなど、クラウド対応やシステム間連携の強化を通じ、運用自動化を実現する機能強化も行っている。

photo JP1/Automatic Job Management System 3がWeb GUIに対応。IE10、IE11およびFirefox ESRで利用可能だ

 各種製品の機能を強化する一方で、パラメータ設計や製品体系を簡易化し、より使いやすく、そして導入しやすいツールを目指したのもVersion 11の特徴だ。カスタマイズ用に設定が必要なパラメータ数についてはVersion 10.5と比較して、監視系で約6割、ジョブ運用系で約7割の削減を行っている。デフォルトで提供する値も全面的に見直しており、新規ユーザーがすぐに利用できるようにした。

 製品体系については製品形名ベースで約7割削減したほか、物理サーバやOSに依存せずコア数に基づくライセンス体系を採用した。言語についても、全ての製品で日本語、英語、中国語の3カ国語に対応する複数言語版に一本化。動的に構成が変わるクラウド環境での運用や短期間でのシステム構築に合わせ、今後も時代に合わせた料金体系を採用していくという。

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