AWSのパートナーアライアンスが与えるインパクトWeekly Memo(2/2 ページ)

» 2016年01月25日 17時00分 公開
[松岡功ITmedia]
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AWSとマイクロソフトがパートナー獲得合戦へ

 一方、もう1つの観点である「新サービスの活用とイノベーション」については、次の3つの具体策を挙げた。

 1つ目は「AWSマネージドサービスの活用拡大」。AWSマネージドサービスとは、仮想デスクトップやモバイル、ビッグデータ活用などに向けてあらかじめ各種サービスが用意されており、これらを使えば管理工数の低減やアプリケーション開発時間の短縮、コスト低減を図ることができるというものだ。AWSでは今後とりわけ自社のリレーショナルデータベース「Amazon RDS for Aurora」の普及拡大を図りたい考えだ。

 2つ目は「SaaSパートナーの拡大」。APNパートナーのSaaSへの取り組みを支援するため、学習・構築・拡販の3段階においてAWSが持つノウハウを提供するとしている。そして3つ目は「IoT(Internet of Things)エコシステムの拡大」を挙げている。

 ちなみに、現在約300社を数えるAPNはコンサルティングパートナー(図1)とテクノロジーパートナー(図2)からなり、国内でシステムインテグレーションなどを手掛ける有力なITベンダーがこぞって名を連ねている。

図1:APNコンサルティングパートナー
図2:APNテクノロジーパートナー

 今野氏はこうしたパートナー戦略によって、「APNパートナーは絶えずイノベーションを習得、提供でき、多様で拡大するエコシステムに参加できる」とし、それが「お客様にとって高付加価値なAWSサービスと進化するエコシステムの恩恵を受けられる」ことになると強調した。

 成長著しいAWSにとっては、さらなるビジネスの拡大に向けて、これまで重視してきた質とともに数も追求するのは当然だろう。だが、AWSがここにきてパートナー数の拡大に乗り出した背景には、市場競争が激化してきたこともありそうだ。

 クラウドサービス市場に詳しい業界関係者によると、「AWSはこれまでパートナーの質を重視して絞り込んできたため、このところクラウドビジネスを手掛けたいベンダーが、マイクロソフトのパートナーになるケースが目立つようになってきた。AWSがパートナー数の拡大に乗り出したのは、そうした動きへの対抗策でもあるのではないか」という。

 AWSにとってマイクロソフトは国内のクラウドサービス市場で最大の競合相手だけに、こうした見方も的外れではなさそうだ。ただ、AWSであれマイクロソフトであれパートナーエコシステムの動きが活発になることで、クラウドサービスの流通構造がビジネスとしてしっかりと確立されるならば、IT業界にとってはむしろ好ましい方向なのかもしれない。

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